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ゆう51
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「それじゃあ帰るよ」
「うん、、」
朝の日差しが眩しい。
でもそれはただ太陽が明るいからだけじゃない。
「とも!また日本帰ってくる時は連絡しろよ」
「うん、わかった」
ともの最高の笑顔。
俺はただこれが欲しかっただけなのに、随分と遠回りをしてしまった。
ゆうは朝の清々しい空気を胸いっぱいに吸い込んで、そしてともに負けないくらい最高の笑顔で手を振る。
これはさよならのあいさつじゃない。
次にまた会うための約束なのだと思うと、この一年が嘘のように身体が、心が、軽くなった気がした。
太陽の光がともの笑顔を包み込む。
ゆうは眩しそうに目を細めた。
こういちの家の前。
昨日と同じ様に足を止める。
すでにカーテンは開けられているが中の様子はわからない。
ゆうは携帯電話を手に取った。
いつ振りだろうか、こういちの名前をタッチする。
緊張しながら電話を耳に当てた。
トゥルルルル…トゥルルルル…トゥルルルル…
何回かコールが鳴ってこういちが出る。
「もしもし…こういち?」
電話越しに同じ様に緊張したこういちの声が聞こえてきた。
もう大丈夫だ…落ち着けている。
ゆうは息を吐くと、真っすぐ前を見つめた。
「うんそう、俺だけど…昨日ともと会ったんだ。うん大丈夫、、今実家にいる……あのさこういち、、ともを…よろしくな、、俺が言えたことじゃないんだけど、ともを支えてやってくれないか…頼む。うん…うん…ありがとう、、本当に…うん、それじゃ……」
電話を耳から離した瞬間、一気に全身から力が抜けた。
やっとこさ自力で立っている感じ。
手にはしっとりと汗をかき、小刻みに震えているのがわかる。
心臓もバクバクいっている。
深呼吸を繰り返しようやく落ち着いた頃、ふと二階の窓から視線を感じた気がした。
でもゆうは窓を見上げること無く、真っすぐ前を向いたまま一歩を踏み出す。
それぞれの止まっていた時間が動き出す。
もう後ろは振り返らない。
過去を笑える日はすぐそこなのだ。
全ては自分次第。
ゆうはまさとのいる家へと急いだ。
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