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まさと52
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“今日は実家に泊まります”
ゆうからの事務的なメール。
荷物の整理があるとは書いてある。
それでもあんなに嫌がっていた実家に泊まるという。
やっぱりさとるとのことがあって、ともくんとのことはもう吹っ切れたのだろうか。
この家から出て行くなんて言い出したら…
別に避けたくてゆうを避けているのではない。
身体が勝手にそう反応してしまうのだ。
こんなにウダウダ悩むならさっさと本人にでも聞けばいいのに、今さらどうしていいかわからない。
いっそ告白でもして見事に振られたらいい。
そしたら諦めもつく。
同じ家を出て行かれるにしても、その方がすっきりするに違いない。
今のこんな状況じゃ信頼されてる親友だとは到底言えないのだから。
恐いことなんて何も無いじゃないか。
でも…
でもやっぱり気が引ける。
カッコ悪りぃな、俺…
それでもまさとは身支度を整えると部屋を後にした。
さとるの家へ向かう。
あんな部屋もう二度と行きたくないけれど、ゆうと直接話をする勇気がまさとにはまだ無かった。
ピンポーン…
エントランスでインターフォンを鳴らせばすぐに自動ドアは開かれた。
エレベーターで上がり、一応玄関のチャイムを押してドアが開くのを待つ。
「おはよ、こんな朝早くに珍しいね、、どうしたの?」
俺はこの時相当な仏頂面をしていたに違いない。
「ちょっと聞きたいことあって」
そう言うなりズカズカと部屋の中に入っていった。
「あ、ちょっ…」
相変わらず品のいい部屋だ。
いつも片付いていて隙がない。
それでも珍しくテレビ前のローテーブルがごちゃついていて、ふとそこに積み重ねられているものに視線が行く。
「なんだ、さとる朝から映画でも見てたのかよ、優雅だねー」
DVDケースの端っこが見えてそう言うと、さとるは慌てたようにテーブルの上を片付け始めた。
その様子に違和感を感じる。
「何見てたんだよ」
「うん、ちょっとね、、」
人に言えないような映画なのか?
まさとは隙をついてさとるの手元からその怪しいDVDケースを奪い取った。
「あっ!」
「…………」
まさとはそのDVDの表紙に目が釘付けになる。
「…これ……」
ようやくそれだけ言ってさとるを見ると、さとるはバツの悪そうな顔をして諦めたように溜息をついた。
そこにはどこからどう見てもゆうとしか思えない人物が、半分脱ぎかけのような状態で真っすぐカメラを向いている。
その雰囲気からしてもアイドルのDVDではないことくらいわかる。
恐る恐る裏を返せば、予想した通りゆうが男のナニをしゃぶったり咥え込んだりしている写真が数枚載せられていた。
DVDを持つ手が震えているのが自分でもわかる。
でもこのぐるぐるとした気持ち悪さが一体何なのかそこまではわからなかった。
怒り、悲しみ、悔しさ、その全てのような気もする。
あまりの衝撃にさとるに詰め寄る気力も起こらない。
とりあえず落ち着こうと深く息を吐く。
あれ?俺って何しにここに来たんだったっけ、、
写真の中の表情の無いゆうを見つめながら、まさとはぼんやりと思った。
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