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23本目、褒め合い。
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逃げるようにして喫茶店に着いた。
いざ目の前に来ると入るのに緊張してしまう。
オシャレすぎて僕には合わないんじゃないかという不安気持ちと、これから長野さんに会うというワクワクとドキドキの気持ち。
店の前に立っているのも不審だと思ったため勇気を振り絞り扉を開け店内に入る。
扉についていた鈴がカランカランという陽気な音を立てて店員さんを呼んでくれる。
「いらっしゃいませ。おひとり様でしょうか?」
「あ…えっと、あとから一人きます」
「かしこまりました。ではこちらへどうぞ」
黒いシャツに黒いパンツ、そしてエプロンまで黒い店員さんは席へと案内をしてくれた。
店内は一人で来ているお客さんが何人かいて、とても静かで雰囲気が良かった。
外だけではなく中にもたくさん植物が飾られている。
「こちらメニューです。また後で伺います」
「は、はい…ありがとうございます」
こういう喫茶店にはなかなか来ないためドギマギしてしまう。
既に用意されていた水を一気に飲んでメニューを眺める。
様々な種類のドリンクやケーキがあり迷ってしまう。
「こちらの席です」
「ありがとうございます」
その声に顔を上げると、さっきの店員さんと男の人がいた。その人は僕の正面に座る。
「歩生くん…だよね?」
「はい。長野さん…?」
「そう!よかった、お待たせしました」
思っていたより早く来て心の準備が間に合っていない。
長野さんは白色に近い金髪で、天然パーマなのかフワフワとしている。そして薄茶色の目は垂れていて凄く優しそうな雰囲気をしている。肌は真っ白で全体的に透明感がすごい。
「あの…僕の顔、何かついてるかな」
「ご、ごめんなさい…!つい…」
「ううん。気持ちはわかるよ。ずっと顔を知らずに連絡してたんだもんね」
長野さんは優しく微笑みながらそう言ってくれた。
文章通りの優しいイメージに安心感がある。
「まだ何も頼んでないよね?僕はアイスティーにするけど歩生くんはどうする?」
「アイスココアにします」
長野さんは店員さんを呼び僕の分も注文をしてくれた。
早速気をつかってもらってしまった。
「ようやく会えたね。すごく嬉しいよ」
「僕もです」
「ふふ、歩生くんは文章や声から想像してたけどすごく可愛いね」
綺麗な人に褒められて自分でも分かるくらいに照れてしまった。
顔が暑いしなんなら体まで暑い。
きっと分かりやすく赤面してるだろう。
「長野さんこそ、とても綺麗です。なんていうか…美人さんです」
つい先日笹窪さんに言われた言葉を思い出して使った。
この“美人”という言葉が本当にピッタリなのは長野さんだと思う。
フワフワしているのにスマートで…独特の雰囲気を醸し出している。とても素敵だ。
「すごく褒めてくれるね。その…ありがとう」
長野さんは少し頬を赤く染めながら照れくさそうにそう言った。
その姿につい“可愛い”と思ってしまう。
笑顔を向けられる度にドキッとしてしまう。
きっと番相手のアルファ性さんは毎日この気持ちなのだろう。
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