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懐かしい森
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「実琴くんの、せい?」
目が覚めたのは知らない所だった。
焦った顔のおばあちゃんは
「あんたが無事でよかったわぁ」
って言って頭を撫でてくれた。
僕はベッドに寝そべっていて、腕には点滴がささっている。
お医者さんと、看護師さん。ぱたぱた忙しそうに診に来るの。ほぇ〜
そして、
「あっ、かっちゃん!実琴君!えへへ〜〜」
友達が会いに来てくれて嬉しくて笑ってたら…
「夕ちゃん!何がえへへなのっ!怪我は大丈夫なのっ?僕はすごく心配だった!」
ほえ?かっちゃん…怒ってる???
「ともかく、…夕ちゃんが元気ならいいよ…」
かっちゃんに抱きつかれて実琴君を見上げてると…
「ごめんね夕、俺のせいだよ」
「う?」
「お前が怪我したのは、俺が夕のこと、ちゃんと見てなかったから。犬を探しに川で溺れたお前を助けなかったのは俺。ごめん」
うぅ〜?
「実琴君が悪いんじゃないよっ?僕が、勝手に溺れたんでしょう」
「違う」
「何も違わないよっ?」
「お前の…頭の怪我、俺のせい。ごめん、ごめん夕」
障がいが残るとか記憶が曖昧になったとかなんとか…先生のお話はよくわからなかった。
たしかに、河原を探していたらしいけど、それから今までの間の記憶はあんまりはっきりはしてない。
ある日
まだ退院してない僕の元にかっちゃんが駆けつけてきた。
「夕ちゃんっ!ワンちゃんが見つかった!怪我をしてたらしくて近所の人が面倒を見てくれてたんだって。
それと、、、、」
「?」
この日を境に実琴君のお母さんが、実琴君を外に出さないようにした。らしい。
そして、実琴君の引越しが決まった。らしいの。
たくさん謝られたし、頭をぺこぺこと下げられたけど、
自分の責任だからずっと否定してた、のに
「夕、ごめんな。じゃあ、、ばいばい」
実琴君はいなくなってしまった。
実琴君がいないのは、悲しくて
「ふぇ、実琴君、行っちゃったぁ…ふええっ」
「夕ちゃん…」
「ワン…」
涙が止まらなかった。
だから、高校で再会したとき
挨拶をしたの。
「実琴君おはようございます」
「…っ、夕」
あの時みたいにならないように。
これから新しい思い出を一から作りたくて。
苦しみとか悩みもふくめて僕に相談してねって。
自分のせいにしないでねって約束したの。
実琴君っ、ずっとそばにいようねって気持ちを込めて。
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