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自習室に入り、二人はそれぞれ椅子に座った。
海がふうっとため息をつく。
「どうした副会長。新田と何かあったのか?」
「……進展があって僕たち両想いってことで…」
「付き合い始めた?」
類がニヤケながら聞くと、
海は照れつつも、すぐに深刻そうな
顔になって答えた。
「はい、ですが色々あって。」
「……というと?」
「一つは陸のことです。なんだか空くんのことが
気に入らないみたいなんです。
陸が空に何かしそうで怖くて……。」
「……んで他には?」
「二つ目は空くんのことです。
先日、空くん学校を休んでましたよね?
その日の前日に何かあったようなんです。
先生、学校で空くんに何か変わったことは
ありませんでしたか?」
じっと腕組みをして思い出そうとしたが、
類は空に対して特に気になるところはなかった。
「いや、俺にはわからないな……。
新田のことなら三条や保科に
聞いてみればどうだ?」
「そうですか……。
実は僕、すでに稔くんと蓮くんに話を
したんですけど、彼らも知りませんでした…」
「……この件についてはお預け、か。他は?」
「考えたくないことなんですが……。
いや、なんでもありません。」
不自然に話を切った海に対して、
類はため息をついた。
「どうせ、エースのことだろ?」
「!!」
海が驚いた顔で類を見つめる。
「なんでわかったんですか?」
「おまえが下手くそに気をつかってきたから。」
海はそれを聞きフフッと笑い、すぐに真剣な顔に戻った。
「じゃあ、遠慮なく言わせてもらいますね。
僕は空くんの様子がおかしかったことに、
エースが関与していると思います。」
「……そうだろうな。」
がたっと音を鳴らし、類は椅子から
立ち上がった。
「もう少しで一時間目が終わる。
必要なことは端的に言うから、
耳の穴かっぽじってよく聞け。
今朝、早朝のことだ。
エースが三条と保科をどこかに連れていってた。
そして二人は今日学校を休んだ。
着実にあいつらはお前たちに
近づいてきているぞ。」
海の脳裏に、嫌な考えがよぎる。
”エースと陸があの日何かをした?
あの日陸が僕を外出させたのはそのため?
空くんはいつ僕の部屋に来た?
ベッドの妙な違和感は……?”
「…………っっ!」
海の心の中であらゆる事象が一本の糸でつながり、
衝撃が走った。激しい怒りがわく。
”気付いたか”と類は自習室から出ていくかたわら、
海の様子を見て察した。
「あぁ、それともう一つ。次の
新田たちの授業は体育だから。」
キーンコーンカーンコーン…
「じゃあな、副会長。健闘を祈る。」
類が教室から出ていった。
海も少し考えた後、すぐに自習室から
出ていった。
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