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海が優しい口調で空に問う。
「ねぇ、空くん。
僕は陸とエースのこと、
やっぱり許せないかもしれないけど……。
でも、それでも君は、彼らを許すのかい?」
空はうつむきがちに答えた。
「俺はきっと……許してしまいますね…。
先生の話を聞いてて改めてそう思いました。」
類が空に鋭い視線を送る。
「なぜ許せる?あの二人はとある人の
人生をめちゃくちゃにしたんだぞ。
新田もその中の一人になる
可能性が十分にあるし、
実際もうあいつらから攻撃されてるだろ?」
「だって……二人とも絶対いい人です。
それは、
陸さんなら海さん、
エースさんなら先生が一番知っているはずです。」
類の目を見ながら、空は話を続ける。
「先生、
”許す”っていうのは他者だけでなく、
自分に対してもできます。
先生も自分のこと、
許してみてください。
そうすればきっと、
エースさんのことも許せると思います。」
「……俺にできるだろうか…。」
「はい、できます!
だって先生はエースさんの本心に
触れられる、唯一の人ですから!
きっと先生から歩み寄れば、
すぐに救い出せるはずです!」
「……ふっ…俺より年下のくせに……。」
類は笑顔で空の頭に手をポンッとのせた。
類のイケメンスマイルとイケメン行動を
見た蓮たちは思わず赤面する。
「ありがとう、新田。」
そして類はそのまま自習室から出ていった。
「海さん、俺……。」
「大丈夫だよ、空くん。
さっきの先生の顔を見ただろう?
今度こそエースを救ってくれる。」
海が空の頭を撫でる。
空は顔を赤くさせ、海の胸に顔をうずめた。
「あの~……。
お取込み中に失礼なんですが、
俺たちもそろそろ行きますね~。」
稔と蓮がそそくさと出ていく。
空と海は数秒間見つめ合って、
互いに吹きだした。
それを見て、
稔はニコッとしながら、心の中で呟いた。
”空、俺たちを許してくれて
本当にありがとう……!”
「じゃあ、僕もそろそろ行こうかな。」
海が空から離れる。
「海さん!」
「ん?」
チュッ…
「そ、空くんっ!」
「えへへ、またまた仕返しです!」
二人は再び笑い合った。
「じゃあまた放課後ね。」
「あ、海さん!俺まだ話してないことが…」
”陸さんに、海さんの部屋で襲われたこと…”
空は言おうとしたが、思わず体が震える。
時間がたったとはいえ、あの恐怖は
体にしみついてしまっているのだ。
何も言い出せず固まっている空を、
海は優しく包み込んだ。
「陸に……何かひどいことされたんだろう?
いいんだよ、もう何も言わなくても。
僕が空くんを好きなことに
変わりはないから……。
今夜は僕が空くんの部屋に行くね。」
空の目から涙が溢れる。
結局二人は、空が泣き止むまで
抱きしめあった。
”なんで僕はあんなことを
言ってしまったんだろう……。
類にぃにやっと本気で話せると
思ったのに……。
僕は何を恐れているのだろう……。”
「……ス、エース!」
「!!……あっ、会長……。」
「なんだ?俺の部屋に入るなり
ボーっとして。」
「あ、いえ。なんでもありません。」
「んだよ、しっかりしろよな。
……で、どうだった?」
「はい、あの二人は新田を抱きました。」
「おー、やったじゃん!案外ちょろくいったな!」
「はい、でもなぜか上手くいった
気がしなくて……。」
”類にぃが干渉してきたせいかな……。”
「なんだ、いつものお前らしくねぇなぁ。
考えすぎじゃねーか?
ま、いいさ。これで新田は精神的に
まいったはずだ。まだ海に近づくようなら
最終手段に移る。」
「それはどのような計画で?」
「それはな……、」
「……………………というわけだ。
一年前みたいなヘマはするなよ、エース。」
「……はい。」
”さすがにこんなことできない……!
救われる必要があるのは
僕なんかじゃない……!!
新田くん、副会長、
類にぃ……お願い、たすけて……!!”
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