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放課後になっても空のもとには
海からの返事は来ていなかった。
不安になった空は稔と蓮を連れて
海の部屋へと向かった。
あと一つ角を曲がったら海と陸の部屋の
前にある少し広いスペースに着くという時、
角と角の出会い頭に空は誰かと衝突し、
互いに尻餅をついた。
「いって……、すいませ…って、
海さん?!」
「いたた……、ごめんなさ……って、
会長ですか?!」
二人の声が重なるが、ぶつかった相手を
確認したとき、その場の空気は
一瞬にして重くなった。
「エースさん……。」
「新田…くん……。」
エースはすばやく立ち上がり、その場を
去ろうとしたが、その行く手を阻むように
稔と蓮が立ちはだかる。
「お久しぶりです、蔵本先輩。」
「どうもっ、せーんぱい!」
「なに……。君たちに
かまってる時間、ないんだけど……。」
エースは稔たちを見ることなくつぶやく。
蓮がエースの胸倉を掴んだ。
「海さんが音信不通なんですよ~。
……またあんたら、何か企んでんじゃねぇろうな!」
稔が蓮の手をエースから離しにかかる。
「蓮、落ち着け!仮にも相手は先輩だ。」
蓮の手から解放されたエースは
咳をしながらも必死に訴える。
「けほっ……!僕は……何も知らない……」
いったんは稔の静止に応じた蓮だったが、
それをはらいのけ、さらに激しく胸倉を掴んだ。
「とぼけんな!海さんのことが
心配で心配で不安な顔をしてるダチだいるんだ。
いつも笑顔満点のそいつの顔を
そんなふうにさせるなんて絶対許さねぇ……。
いい加減にしないと………っ、
父ちゃんの力を使ってでも、おまえらを潰すぞ!」
蓮がそう言った瞬間、パンッという
乾いた音が、その場に響いた。
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