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ヒーロー計画10
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「これは、俺より厄介そうだ」
そう言うと、匡の腕をしっかりと掴む。誰かが反応するよりも早く、足の裏に力を籠めると、見事に割れる人々の波の間を駆け抜けた。
気が付くと人通りのまばらな校舎の中庭に来ていた。平然と誰も追ってきていないことを確認している大樹の睨みつけながら、匡は腕を払いのける。
「おい、助けてやったのにその態度はなんだ?」
「うるせえ」
そのまま去ろうとする匡の腕を再びつかむと、にやりと口をゆがませて、
「まあまあ、いいじゃねえか。何? 困ってることがあるなら俺に言ってみろよ。大抵のことは解決してやるぜ?」
先ほど言ったものと一字一句同じ言葉を彼に向けた。それでもなお逃走を図ろうとする匡の態度に、若干の苛立ちを覚えた大樹。
「これ、なんだと思う?」
ズボンの後ろポケットから取り出した財布を彼の目の前に突き付けた。
「やっぱりお前かっ。返せ、この変態がぁ」
財布を取り返そうと奮闘する匡を難なくいなし、
「返してほしかったら、困ってることを言え」
「今、現在。この状況以外に困ったことはねえっ」
「おいおい、冷静になれって。これじゃあ、まるで俺が悪もんみたいじゃねえか?」
「その、通りだろうがよっ」
鼻息の荒い彼に落ち着くように進言していると、みぞおちに衝撃が走った。
「ぐっ……! てめぇ」
苦しそうに片膝をついた大樹は、右ストレートを決めて冷徹に見下ろしてくる匡に眉を顰める。それでも財布を持つ手の力は緩めることなく腹に抱え込んで守り抜く。
しぶとい大樹に根負けした匡は、荒々しくベンチに腰掛けると、ふんぞり返って足を組む。
「お前も、あいつらも意味分かんねえ。あいつらもお前と同じストーカーだよ。先頭にいたのは俺と同じクラスなんだが……なんなんだ、あいつら。一人一人だと問題ないんだけど、集団で群がってきたかと思ったら意味分からんことを口走りながら追いかけてくるんだ。マジで性質が悪い……」
「おまえなぁ。あいつらと俺を一緒くたにするなよ。あいつらが性質悪いのは否定しない。あーまあそうだな。お前、凶悪そうな顔してっけど、よく見ると整ってるもんな。あいつらそういう見る目だけはあるから。ほら、笑ってみろよ」
ドカッと隣に腰を下ろした大樹に、顔を褒められ怪訝な顔をする匡。好き勝手に頬を抓られながら、
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