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朝の悪癖。
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朝の電車は混んでいる。
みんな同じような時間に登校出勤するのだから仕方ない。
微振動の箱に揺られていると、微か尻に触れるものがあった。
微睡みながら、任せていると、今度は確かな意思を持って、その手は若く、張りのある尻を撫でる。
―――なに?
睡魔に虚だった脳にシグナルが発信される。
知らない。
こんな状況は考えられない。
少年は幼さの残る顔を上気させながら状況の把握に努める。
手すりに掴まった左手に力が籠った。
大声を出すか。
下車の予定はないが、次の駅で降りようか。
懸命に頭を働かせるほど、掌の感触が克明になる。
「ひっ!」
見知らぬ男の指が、制服のスラックス越しに股ぐらを掴んだ。
「んっ、んっん……」
強い力でタマを握られるとみっともなく膝頭が震え、立っていることすらままならなくなる。
―――あぁ、やめて、やめて、やめて。
「気持ちいいのかい?」
荒い息と共に耳に吹き込まれる声。
「誰が見ているとも判らないのに、はしたなく腰が揺れてるよ」
知らず、息があがり、腰に淫靡な快感が拡がり始める。
「クッソ、ジジィ………」
呟いた悪態に、悦楽の吐息が混じる。
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『K駅、K駅~……』
車内アナウンスが下車駅を告げて、華村朔良は目を開けた。
ずれた眼鏡を押し上げる。口の端から涎がはみ出ていた。
腰に力が入らない。
脳内で見知らぬ禿デブ部長系リーマンに男子高校生が制服のズボン下されてチンコ扱かれて三回イッたあたりでうっかりリアルでも射精しちゃって腰が怠重い。ノーハンド自慰。もはや得意技。
というよりは。
―——これを悪癖と言わずなんというのか。
ド変態ですみません。
しかも妄想が野郎同士の腐妄想ですみません。ゲイではないんです。そういうのを第3者的に見るのがおいしいだけで。
誰に対するいいわけかわからない。これが所謂賢者タイム。頭の中が冴えて、ワルイコトしちゃいましたって感じ。
―――パンツの替え持って来てよかった。
でも大体こういうあとから来る軽い罪悪感って慣れちゃってするっとやり過ごされてしまう。
鼻から深く息を吐き、人波にもまれながら下車する。ホームは乗り換えの乗客もあってごった返している。こんな人ごみの中パンツザーメンで汚しちゃってる野郎がいるなんて誰も思っていないだろう。
近くにある学校が櫻花男子しかないから、下車する学生の殆どが朔良の学校の生徒だ。
この状態の駅で個室に入ってパンツ交換とかしたくないけどしょうがない。♂汁沁みっぱなしのパンツで学校なんて行きたくない。
「おはよう!ハナちゃん」
「うっあ!」
いきなり尻朶を鷲掴みされて奇声を上げる。
振り返ると自分よりほんの少し背の高い少年が笑っていた。
―——橘はあれだな、『無邪気鬼畜攻』あるいは『凌辱系受』。
本人に言ったら
「ハァ?今なんて?」
って切り返されちゃいそうな秘密の呪文。
「オイこら、『華村先生』だろ」
爽やか作って笑うけど、考えてることはあれだ。
――――パンツ気もちわりぃからさっさと先に行ってくんねぇかなぁ。
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