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酒と性癖と男と男
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金曜の駅前は予想していたより人が多かった。
スーツ姿の冴島はどこからどう見ても教員には見えない。
そんなに教員らしい教員って、朔良も見たことはないのだけれど。
差し出されるポケットティッシュと、キャッチの声を無視して、男二人で駅前を歩いていると、それだけでなんか周囲からおかしな勘繰りをされているのではないかと思ってしまう。
昼間の会話が原因なのわかっているのだが。
このまま、ラブホに連れ込まれたりして。
「ちょっと遊ぶくらいならイイでしょ」
などと、冴島なら容易く言うだろう。
自分より高い背に並んでそんなことを考える。
口さびしくなって、煙草が欲しくなる。
愛情はないけど躰だけは相性がいい大人の遊びも妄想のネタとしては悪くない。
お互いに好きな人間がいながら、報われない恋に持て余した体を重ね合う。
たまに相手の名を間違えて仕置きを受けたり、知れず胸を痛めたり。
想像したらニヤけそうになって俯いて隠した。
「朔良」
「は?」
唐突に名前を呼ばれて冴島を見上げる。
「仕事が周囲に知れるのもいやでしょ。それとも華村の方がいい?」
「いや、朔良で、気には、なりませんけど」
急に距離を縮められたようで、少し面はゆい。
大したことではないのに、冴島の低音で呼ばれると耳にこそばゆかった。
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