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掌の温度4
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再び朔良を抱き寄せた冴島の顔は肩口に埋まり、朔良は冴島の腕の中で息を整えた。
高ぶっていたものが落ち着きを取り戻す。
「『共犯者』になるなら、ちゃんと手の内は明かさないといけないよね」
共犯者という響きが、やけに耳についた。
「大丈夫だよ、朔良、俺も朔良を利用したいだけなんだ」
だから、大丈夫だと冴島は重ねて呟く。
朔良は、櫻井から逃げるために、冴島を利用する。
冴島は、実らなかった恋の代わりに、朔良を利用する。
なんだか滑稽で笑えた。
それは、自分が以前妄想したものと同じだ。
「今週末。日曜の夜に返事を聞かせて」
冴島の黒い瞳が朔良を見つめる。
期限を区切ったことが情けなのか、無情なのかわからない。
朔良の顔に触れ、唇触れ、冴島の体が離れた。
「もう行かなくちゃ」
いまだ濡れた髪にタオルをかぶせ、冴島が朔良の手を引く。
うつむきがちに考えながら、朔良はその手を握り返した。
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