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終礼が終わったのと同時に教室を出る。今日も元気良くバイトだ。それに岸本さんも同じシフトだから楽しみな事この上ない。変な客が来ようとも忙しくても、岸本さんが居れば無問題。最後まで笑顔で仕事が出来る。
「ふんふ〜ん、ふ〜ん」
「おい、止まれ」
「ふ?」
浮かれ半分、鼻歌でノリノリで廊下を歩いていたら呼び止められた。
「あ、会長」
立ちはだかるようにして俺を呼び止めたのは、今日も今日とて麗しい我等が会長様。が、なぜ会長が俺を呼び止めたのかは分からない。
「話がある着いてこい」
「え? え……ちょ、ちょっと!」
返事をしていないのにも関わらず、さっさと歩き出した会長に慌てて着いていく。
「あの、話って何ですかね。俺、バイトあるんですけど」
連れてこられた先は会長室だった。前に一度入った事はあるが、なんと言うか凄い。大理石の床に、絢爛豪華な調度品が飾られており、照明もシャンデリアの光が煌びやかに輝いている。やっぱり金持ちの学校は会長室から違う。て言うか、会長室ってなんだよ。一般の学校に会長室なんてないだろう。
「座れ」
促され見るからに高価そうな毛皮のソファに座る。柔らかい毛皮で座るとずっしりと沈んだ。このソファいいなぁ。欲しい。
「率直に聞く。姫路梓とお前は校内で専らの噂だが、一体どういうつもりだ」
「え、どういうつもり?」
きょとんとして会長を見る。まさか、会長から姫路先輩の事を聞かれるなんて思ってなかった。
「会長も先輩の信者なの?」
「違う」
うん、それは無いと思ってたけど。他に見当がつかないが、後考えられることといえば……
「はっ、もしかして会長嫉妬? 俺のこと好きならそう言ってくれれば」
「愚民が身を弁えろ」
「ぐ、愚民……」
「お前達が付き合っていようがどうでもいい。ただ、校内の風紀を乱すような行為は謹め」
「はぁ、風紀を乱すような行為」
別に乱すような行為なんてした覚えないけど。それより、風紀を乱しまくっている奴なら俺以上にいるだろ。間宮なんとかっていう奴。あいつを何とかして欲しい。
「会長がそう言うなら気をつけます」
「あぁ」
「……えっと、話ってそれだけですか?」
「それだけだ。もう帰っていい」
呆気なく言われ、少し驚く。わざわざ注意をする為だけに会長室に呼ばれたなんて。結局、何がしたかったのだろう。
些か腑に落ちないが、バイトの時間も迫っているし会長の言う通り席を立つ。それじゃ、とドアノブに手を掛けようとした時だった。
「俺はお前のタイプじゃなかったのか」
ボソリと聞こえた声に、え? と振り返る。表情は先ほどまでと一切変わらないが、会長の強い瞳に見つめられ内心ドキッとする。
「初めて出会った時、お前はそう言ったが、それは冗談だったのかと聞いている」
「会長……」
ソファからすくりと立つと俺を見据えたまま近付いてくる。すぐ後ろは扉で開けて出て行くことも出来ず、近付いてくる会長の様子を伺う。
「どうなんだ」
「どう、って」
会長の意図が分からない。が、その強烈な瞳に見つめられたら素直に答えるしかなくて……困惑しつつ、思ったことをそのまま口にする。
「そりゃ勿論タイプですけど」
こんな事、聞いてくるなんて本当にどうしたんだろう。いつも俺がふざけていたらすぐに鉄拳が飛んで、反省文を突きつけられると言うのに。
「あの、やっぱり会長、俺のこと好き」
「黙れ」
圧倒的な威圧に思わず口を噤む。
スッと伸びた手が俺の頬に触れた。冷たい手。あまりの冷たさに、本当に血が通ってるのか疑わしく思った。
「お前みたいな軟派な男は軽蔑すらする。言い寄られるなんて迷惑だ」
「……っ…」
頬に触れている手が下に降り、首に触れる。そのまま首でも締められるんじゃないか、と思ってヒュッと息を飲んだ。会長は表情を変えずに話を続ける。
「……迷惑だが、このままお前を野放しにしてまた問題でも起こされても困るんだ。それならいっそ、」
一旦、言葉が区切られ、会長の薄い唇に妖しい笑みが浮かぶ。
「俺の専属の奴隷として大人しくしてもらうしかないな」
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