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聞こえちゃまずい単語が聞こえた気がする。
‘‘奴隷”なんて……
──ナイナイ! まずここ日本だし、奴隷なんてどこ次元の話だよ! そんな猿でも分かるような事、あの会長様が言うはずない。俺の聞き間違えだ。それにしても、なんて酷い聞き間違えだろうか、こんなこと会長に言ったら殺される。危ない危ない……
「すいません、会長。もう一度言ってもらえますか」
「俺の奴隷になれ」
今日はバイトじゃなくて、耳鼻科行った方がいいのかもしれない。
「お前の耳に問題はない。問題があるとしたら頭だ」
「だって、突拍子もない! 自分の耳も疑いたくなりますよ。あと、頭は至って正常です」
聞き間違えでもなく冗談でもなく、本当に言っているのだとしたら驚きもする。だって、‘‘奴隷”になれ、なんて生まれて初めて言われた。普通、言われるような事なんて一生ないだろうが。
「どうして狼狽えることがある? お前にとっても喜ばしいことだろう」
「え…?」
「俺はお前のタイプなんだろ?」
至近距離で囁く会長は、妙に艶めかしくてドクンと心臓が波打った。そりゃ、こんな美人な人に迫られたら誰だってときめく。それこそ、安直にこの人の奴隷になってもいいかなって思えるくらいに。
「ふ、ふふふ……」
奴隷になれ、か。未だ嘗てない口説き文句だ。発想がぶっ飛び過ぎている。思わず笑いがこみ上げてきた。
「あー面白い。好きになりそうだよ会長のこと」
「俺も奴隷としてなら少しは愛着を持てるかも知れない」
「ふふ、それは良かった。でも、俺の取り扱い結構難しいかもよ」
「大丈夫だ。馬鹿犬の調教は得意なんだ」
自信ありげに言う会長に、確かに犬猫だけじゃなく猛獣でも手懐けてそうだな、と密かに思った。
面白そうだから、と会長の奴隷になる事を受け入れた俺は、こうして楽しい楽しい奴隷生活の始まりを迎えたのだった。
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