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6月26日(金) 対決
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「───はあっ!!」
駆け出した勢いに任せて、拳を振る。
「強くなったなー」
怜は笑顔を浮かべたまま、ひらりとそれをかわした。
「っ…そんなこと、思ってねーくせに!」
僕は瞬時に振り返りながら、今度は回し蹴りを見舞う。
しかしそれも、膝を折ってしゃがんだ怜の頭上を空振った。
「っ…」
真下から、僕の顎めがけて彼の掌が繰り出される。
「ぐっ」
まともにそれを食らった僕は、弧を描いて吹っ飛んだ。
「いっ…た……」
…やばい、意識飛ぶかと思った。
立ち上がって、じんじんする口元を拭う。
口が切れたようで、手の甲に血痕がついた。
「…っ」
砂埃の中、怜がさっきの僕と同じように拳を構えて走ってくる。
───避けられない…。
僕は両腕でそれを受け止め、急所に当たるのを防ぐので精一杯だ。
殴られた腕は、骨が折れるんじゃないかってくらい痛かった。
…どうして、怜はこんなに強いんだろう。
怜が高校生になって、家を出て行ってから2年。
僕だって、その2年ですごく強くなったのに。
喧嘩の機会なんてめったになさそうなこの学校で、怜は少しも弱くなってない。
これはもう、生まれ持った才能の差だ。
「───!?」
防戦一方だった僕は、気づくと怜に真後ろを取られていた。
「っ…」
振り返った瞬間、それを待っていたかのように鳩尾を蹴られる。
「うっ…ぁ…っ」
地面に崩れ落ちる僕が最後に見たのは、いつもと変わらない怜の笑顔だった。
…雪町に、かっこいいとこ見せたかったのにな。
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