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【匂いがする】アイよぴ
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ふわっ、と嗅ぎ慣れた匂いが鼻をくすぐる
この匂いは、自分の大好きな匂いだ
優しくて、甘くて、心地よい匂い
読んでいた本を伏せて、自分は席を立った
自室のドアノブを回して外に出て、匂いのする方へ向かう
外出中で誰もいない拠点の中に、彼の匂いだけが漂っていた
とある部屋の前に立つと、自分は迷う間もなくドアを開ける
すると、吃驚したように肩を震わせ、彼は椅子に座ったままくるりとこちらに体を向けた
「なんだ、アイクか...」
「...」
無言の自分に彼は首を傾げる
彼に歩み寄って、肩に顔を擦り寄せる
顔に髪の毛が当たってくすぐったいのか、彼は少し身をよじらせた
「ノックぐらいしてくれよ」
「ん、わかった」
彼の肩に顔を押し付けたまま、すぅっと息を吸う
漂っていた匂いが、自分の体全体に取り込まれる
あぁ、好きだ...この匂い
彼は、自分の背中に片手を回して、とんとんと軽く叩いた
リズムよく叩かれる感じに、つい眠気が誘われた
自分は彼の肩から顔を離すと、彼の顔をじっと見つめた
「アイ...っ、ん」
名前を呼ぼうとする彼の唇を封じ、彼の匂いを堪能する
うっとりと目を細めて味わう
「はぁ、んっ...ぁ」
静かな部屋に、唇を合わせて、舌を絡め合う音だけが響く
あぁ、いい匂いだな...
唇を離すと、銀色の糸がお互いを結び、そして脆く切れる
彼は苦しそうに息を吐いた
「ぷは、っはぁ...お前、いきなり...」
「仕方ないよ、したくなったんだもん」
「自由な奴だな...」
彼はそう言って呆れたようにため息を吐き、ふっと笑みをこぼした
それに自分も笑顔で返し、今度はゆっくりと口づける
いきなりだと言っているくせに、抵抗しないのがまた可愛らしいと思った
彼のやり場のなくぶらんと下に垂れた手を片手で握り、ぎゅっと指を絡める
それに彼は少し体を震わせた
「指、弱いよね、Yさんは」
「っ、...」
彼は反論しなかった
否定したら、絶対確かめてくると思ったのだろう
手で指を愛玩しながら唇を重ねる
時間と、強くなる彼の匂いが流れる
みんなが帰ってくるまでの数分間、自分と彼はじっくり2人の時間を甘く過ごした
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