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【昔とは違う】西坂西
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僕は今、赤い浴衣を着て西郷と待ち合わせをしていた
携帯を覗くと、通知が来ている
『あとちょっとで着きますんで』
西郷からだった
だが、今日は実況の収録はしない
さすがに浴衣ではやりづらいし、今日は近所の祭りがあるからだ
僕と西郷は小学校の頃、毎年一緒に地元の祭りに行っていた
食べ物を買ったり射的や金魚すくいなどをしなくとも、西郷と一緒に歩き回って、一緒に花火を見るのが好きだった
その時間が、とても...とても大好きだった
最近は大体どちらかが予定が入っていたりして一緒に行けないことが多い
昔は1年に1度の大きな楽しみだったが、今はそれも貴重になってきた
するとカラン、カランと下駄を履いた足音を感じて、すぐに誰かわかった
僕は顔を上げて、その方を見る
西郷「お久しぶりです、坂本さん」
坂本「西郷!」
西郷がにこっと柔らかな笑みを浮かべる
西郷の笑顔は昔から、安心するんだ
ずっといるからかもしれないけど
僕は西郷に駆け寄る
坂本「今日は随分と遅かったな?」
西郷「あぁー、途中で電車混んでて...
浴衣に下駄なので歩きづらいってのもありますけど。
ところで、どこ回りますか?
久しぶりにヨーヨー釣りでもしてみます?」
坂本「あれ高学年以来だなw
一個も取れなかったけど」
西郷「まぁまぁそう言わずともww」
僕たちは一瞬沈黙し、お互い笑いあって歩き始めた
祭りの雰囲気は幼い頃から何も変わらなかった
だからこそ、昔に戻った感じがして...
とても心地良かった
坂本「っ!」
隣で歩いていると、西郷の手が僕の手をぎゅっと握りしめた
坂本「西郷...?」
西郷「大丈夫ですよ、これだけの人ですからバレません」
坂本「そういう問題か?」
西郷「はい、そういう問題です」
ははっ、と笑って僕に綺麗な顔を見せた
何故こうも、僕は西郷に敵わないのだろうか
西郷「昔とは違いますからね」
坂本「...うん」
西郷「恋人って、ちょっと照れくさいですもんね」
坂本「...うん」
西郷「........坂本さん?」
僕は西郷の肩に顔を埋めた
顔が熱い
きっと、今西郷から見たら僕は酷い顔をしているだろう
坂本「今更だけど、もう離す気ないからな。
覚悟しろよ」
西郷「っはは、それは私の台詞ですよ」
そう言って、お互いを繋ぐ手を強く握りしめた
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