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愛する人がタテル音
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「はぁっ、はぁっ…」
汗が流れ落ちる。
仙道も宮城も肩で息をしてきつそうにいる。
「着いた…、桜木の家…
は、早くいかねぇと…俺の桜木が…危ない…」
そう仙道が片目を瞑り、右腕で汗を拭いながら呟いた。
宮城は 〝俺の〟桜木と言った仙道をまるで気にしてないようで
我先にと桜木の玄関まで続く階段を登った。
「…は、花道…」
どうか水戸と何もないでいてくれ。
願って願って願った。
2人は急いだお陰か、ここまでたどり着くのに30分もかかってなかった。
普通に歩くと1時間はかかる距離なのにだ。
それだけ桜木の身の安全を確保したかったのだ。
仙道も宮城に追いつき、
ふたりして玄関の前に立った。
どちらかともなく、ドアノブに手をかけようとした。
その手を先に引っ込めたのは宮城だった。
「どうしたの、宮城…」
「なんか…声がする」
「え?」
仙道は耳を澄ました。
ただ、嫌な予感が頭をよぎったからだった。
扉に耳を傾ける。
しかしそこからは ソレ らしき声は聞こえず。
はて、と首を傾げた。
「何も聞こえないよ」
「いや、聞こえる。ほら…」
宮城が目を瞑ると、仙道も釣られて目を閉じた。
静まり返った、空間。
その時、
────聞こえた。
仙道が下がり気味の眉をピクッと動かせた。
確かに、聞こえる。
その〝音〟は。
「桜木の…声だ。」
「ああ」
しかも、この声。
『洋平っ、んんっ…もっ、もっと激しく…っ』
────ドキン!!
宮城の心臓が飛び跳ねる。
この声は、紛れもない。聞き間違いでもない。
宮城の顔はみるみると紅く染まり、
流れ落ちる汗を拭おうともしない。出来ない。
そこまで気を回す余裕がない。
「…は、花道!…」
宮城は咄嗟にドアノブに手をかけた。
開けようとした瞬間。
仙道がその手を握った。
「……ふー…」
ため息をもらす彼は怒ったような表情で扉を見つめた。
「宮城」
「…花道が…っ、止めねぇとだろ!?
この手、離せよ!!馬鹿野郎!」
「ムダだって。」
「なっ、んで!」
「これで2度目だから」
仙道は眉をひそめ、そう答えた。
宮城は悔しかった。そして理解出来なかった。
「2度目だから…なんだってんだ!
2度目でも3度目でも関係ねえ!!
止めねーとほんとに…」
本当に?
本当に何が決まる?
花道の気持ちが?
そうだ。
…手遅れになる。今、どうかしないと。
きっと手遅れになるんだ。
こんなにも花道が大好きなのに!
「俺は後悔なんかするくれぇなら
今無理矢理にでも止めてやるぅ!」
「宮城!落ち着けって!」
「落ち着けられるかぁ!!
てめー仙道!なんでそんなに普通でいられんだよ!ふざけんじゃねえ、やっぱりてめぇ花道を好きじゃ…」
「愛してるよ。桜木のことは世界一、いや銀河一愛してるから。」
「じゃあ止めんなクソ!」
「愛してるから分かることだってある。
俺はニブチンって言われるけどさ
桜木のことなら何だってわかるっていう自信は誰よりもあるんだよなあ。」
「いみ、わかんね…」
「とにかくここは撤退だ。
俺には切り札があるしね。」
「切り札?」
そう宮城が聞き返した時、
やっとのこと三井が追いついた。
「オーイ!宮城!仙道ー!!」
「あっ、三井さんにも事情話さないと…」
仙道はいち早く階段を駆け下りた。
宮城は「切り札ってなんだよ…」と言葉を残した時、
後ろの扉の奥から また花道の〝音〟が聞こえた気がして
耳を塞ぎ、首を横にぶんぶんと勢いよく振った。
「…今は…とにかく仙道のやつを
信じるっきゃねぇ…」
そう言って仙道を追いかけ、階段を下りた。
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