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#04 ハロウィン
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「トリックオアトリート!」
いつものように司書室の扉を開けた豆柴透は満面の笑みでそう告げた。
「来たな?いけない子供が」
「うぇっな、なんですかそれ…!」
紅茶を淹れていた司書教諭の羽生孝宏は、からかうように小さく微笑んだ。
#04 ハロウィン
「はい、真澄先生が作ったお菓子だよ」
「カップケーキだ!めちゃくちゃいい匂い!」
ほのかに香るパンプキンの甘い香り。
カップケーキの表面にはチョコレートでカボチャのランタン風にデコレーションされている。
「ほんとにもらっていいんですよね?」
「うん、ただし俺の質問に答えてくれたらね」
羽生の思わぬ言葉に、豆柴は一瞬きょとんと固まっては首を傾げた。
「質問って…?」
「トリックオアトリート、っていわゆる<お菓子をくれないとイタズラしちゃうぞ>でしょ?」
「はい」
「だからね。もし僕が君にお菓子をあげなかったとしたら」
どんなイタズラをしようと思っていたのかな?
「…え、」
「ん?」
「そ、そうですよね…イタズラ…」
気恥ずかしそうに視線をそらすと、もごもごと口ごもる豆柴。
この反応はどうやら…
「考えてなかった?」
「!だ、だって…!羽生さんなら…絶対くれると、思ったし…」
(随分と信用されてるんだなぁ、俺は)
羽生はそう心の中で呟くと小さく苦笑をこぼす。
そんな彼に気づいてか豆柴が視線を戻すと、羽生は再び笑みを浮かべるとカップケーキをふたつ手渡した。
「でもね、豆柴くん」
これでも俺は、結構意地悪なんだよ。
#04 ハロウィン fin
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