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3日目 2
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正直女子が相当怖くて強くて辛い、そう思い始めたころ
陽介が教室にいないとき、話しかけられた
「…玖条、律さん…ですか?」
「…誰でしょうか」
休み時間、誰かも分からぬ男子に声をかけられた
あれか、そろそろ来るとは覚悟していたが、ガチ目なやつか
「あの…ついてきてください」
これは…マジか
えっと…誰でもいいので、俺の無事を願っててくれると嬉しいです…
断れるわけもなく、そのまま引きずられるようについていく
向かう場所は…俺の予想が正しければ屋上か校舎裏か空き教室
そして場所は的中、校舎裏
それでも俺の考えたようにたくさん人がいるわけでもなく、女子が何人かいる感じでもなく…
あれ…リンチとかじゃないの?レイプとかでもなく、カツアゲとかでもないんだ…
「あ、あの!」
「はいぃっ!」
「好き、です!付き合ってください!」
「…はいぃ?」
リンチでもレイプでもなく、ただ告白してきただけだった
もしかするとなんかの罰ゲームかもしれない、そう思ったのは最初だけ
真っ赤な顔して恥ずかしそうに俯きがちにフルフルと震えているのを見ると、罰ゲームだとしてもいいやと思って、俺は真剣に返すことにした
「あ、えと…ごめんなさい」
「そう、ですか…いや、そうですよね。聞いてくれて、ありがとう、ございます…」
俺が断った後、悲しげに俯き、眉を下げつつも笑顔を見せたその子の表情が、アイツの顔に似ていてどうしてか、逃げ道を作ってやりたくなった
「で、でも…友達でよければ…」
…自分でも分かるくらいの偽善だ。嫌になる
「…い、いんですか?」
その一言でこの子は逃げることを選んだと悟る
告白して振られたのに友達になるというのは普通だという人もいると思う
でも俺は告白して振られた時点で『嫌い』と言われたも同然だと考える
だからこそ、前のような関係には戻れない。それが初対面だとしても変わらない
だから分かっていると言った。
俺の行為は『偽善』であると。
「うん、君とは初対面ですよね?まだどんな人かも分からないし…」
こんな自分に嫌気が差す。上っ面だけの笑顔、思ってもない言葉の羅列…スラスラ口から飛び出していく
あぁ…嫌だ。こんな真っ暗なの、誰かに知られたくない、見られたくない。嫌だな…こんな自分が嫌だ
「りっちゃん、駄目だよ」
後ろから声が掛かり、二人とも声がしたほうに振り返る
いつだかと同じ声が、した………いつだっけ…
「駄目だよ、りっちゃん」
あぁ…そうだ、よーくんちにあそびにいったときだ。なんでかはおぼえてないけど、ぼくはまっくろになっちゃってたんだ
「大丈夫だよ、俺がいる」
今自分がどんな顔しているのか分からない。さっきまでの真剣な表情をした陽介は一瞬目を見開いたが、俺にふわりとした笑顔を見せたまま近付いてくる
後頭部に片手を当て、陽介の胸に収まった
一定のリズムでポンポンと撫でられ、俺は何ともいえない気持ちになった
なぜだか分からないけど、涙が止まらなくて、よーくんのシャツを握りしめながら声を出さずに泣いた
よーくんは何も聞かずに頭を撫で続けた
いつの間にか告白してきた子はいなくなっていた
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