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3人人狼編(23)
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7日目・昼
side:シン
次に目が覚めたときには、人間の姿に戻っていて、マサジはどこかへいなくなっていた。
「いったあ……」
起き上がろうとすると尻に激痛が走り、思わず手を当てると、赤い血がついた。
「う、嘘だろ…」
しばらく呆然と手を見つめていたが、ふと話し合いの時間が迫っていることに気づいた。
時間に遅れたら怪しまれるかもしれない。でも尻が赤くなってたらその時点でアウトだ。
痛みをこらえながら急いでシャワーを浴び、部屋を飛び出した。
「さてさて!これが最後の話し合いかな?もう終わっちゃうなんて残念です。というかもう終わってます。次の夜が来ない時点でわたしのゲームは終わっていました!」
洋子はテンション高く嘆いている。
この場にいるのは、俺、ソウタ、ナルミの3人だ。この3人での話し合いで…勝敗が決まる。
<話し合いスタート>
残り人数 3人
シン
ソウタ
ナルミ
×ヨウ
×ハヤト
×アラン
×ショウヤ
×アキラ
×ゴロウ
×カエデ
×ヤス
×ナツキ
×ミコト
×マサジ
話し合いが始まったものの、誰も言葉を発しない。
ソウタは俺とナルミを見比べておろおろしていて、ナルミは下を向いてじっとしている。
ソウタはたぶん、気づいていない。
ナルミがゲイではない以上、俺がゲイであるということに。
シン「あのさ、一応聞くんだけど…ソウタがゲイなのか?」
ソウタ「……え?!ち、違うよ!俺が愛しているのは植物だけ…」
シン「…だよな。でもこの状況、ソウタがゲイだと考えないとおかしいんだよ」
ソウタ「ど、どうして…?」
シン「俺はゲイじゃない。ナルミはナツキの知り合いだからゲイじゃない。残ったのはソウタだ」
ソウタ「い、いやいや!そんな…そ、それを言うならシンも怪しいじゃん」
シン「まあ、そうだよ。つまり、俺とソウタのどっちかがゲイ。そういう状況なわけだよ」
ソウタ「ってことは…」
ソウタは俺を疑いの目で見ている。
シン「でも俺は、もう1つの可能性に気づいたんだよ」
ソウタ「え…?」
シン「ナルミがゲイだっていう可能性だ」
ソウタの目が揺れている。
ナルミは下を向いたままだ。
ソウタ「で、でも…よくわかんないけど、ナルミがゲイじゃないのは確定してるんだよね?」
シン「そう思っていた…けど、昨日のナルミの行動は、それに矛盾していることに気づいたんだ」
ソウタ「昨日の行動って…」
シン「投票で引き分けにしなかったことだよ」
ナルミはゆっくりと顔を上げた。
シン「もしナルミがノンケなら、あの行動はおかしい。引き分けにすれば、自分が襲われる可能性はなくなるのに」
ソウタ「ゲイなら襲われることはないし、自分の思い通りの人を追放することができるチャンスだったから…ってこと?」
シン「そうだよ。…ナルミ、どうして昨日引き分けにしなかったのか、理由が説明できるか?」
俺とソウタの視線を浴びながら、ナルミはぽつんとつぶやいた。
ナルミ「…勝ちたかったから」
ソウタ「勝ち…?」
ナルミ「ゲームに勝って、ゲイをひどい目に合わせたかったから」
ソウタ「え…?そこまでの恨みを?」
ナルミ「ナツキが襲われたことの、仕返しがしたいんだ」
ソウタ「ナツキ…?」
ナルミ「ナツキが俺のこと覚えててくれてたなんて…すごく嬉しかった。だから、仕返しがしたい。引き分けになりそうになったとき、突然そんな気持ちが湧いてきた」
…何も反論ができない。
ナルミ「俺頭悪いから…こんな聞き方しかできないんだけど…」
ナルミは俺とソウタを順に見た。
ナルミ「どっちがゲイなの?」
シン「……」
ソウタ「え、ど、どういうこと?ナルミはゲイじゃないの?シン?」
シン「う、うーん……ナルミの態度、ちょっと変な気もするけど」
ソウタ「変って?」
シン「昨日、ナツキが知り合いかもって言ったときは、全然自信なさそうだったのに、急に使命感に駆られてるように見えるから…怪しまれているのをごまかす演技かも?」
ソウタ「な、なるほど…」
ナルミ「どうせ俺はカッコつけちゃいけない人間ですよ…死にたい…」
ソウタ「あ、なんかいつものナルミに戻った気がする」
ナルミ「もう何も言いたくない…」
ソウタ「ご、ごめん…」
ナルミをゲイに仕立て上げるのはやっぱり無理があったかもしれない。今までの話し合いの流れを完全にシカトしているし、いくらソウタの頭が悪いからといって、そう簡単には騙されてくれないか。
ソウタ「ねえ…やっぱりシンがゲイなんじゃないの?ナルミは違うみたいだし」
シン「俺からしたらソウタがゲイに見えるからなあ」
ソウタ「俺が愛しているのは植物だけだってば」
シン「そんなのどうとでも言えるし」
ソウタ「俺の愛を疑うのかよ!!」
シン「おしべとめしべ、どっちが好き?」
ソウタ「…え?」
シン「ゲイってそういう意味かもしれないし。おしべが好きでたまらない、みたいな」
ソウタ「い、意味がちょっと…」
シン「人間のおしべもいけるんじゃないの?」
ソウタ「ぼ、暴論だ!」
自分でも何言ってるんだか。
シン「ナルミはどう思う?」
ナルミ「え?」
シン「俺とソウタはお互いを怪しいと思ってるんだよ。つまり、ナルミの意見でどっちが追放されるのか決まる」
ソウタ「な、ナルミ!俺はおしべかめしべかで言ったらめしべのが好きだよ!」
ナルミ「わ、わからないよ。どっちも怪しく見えるし…。俺ほんと頭悪いから…」
シン「ソウタだ。ソウタに入れて一緒にナツキの仇をうとう」
ソウタ「シンってなんか怪しかったじゃんずっと!きっとシンだって!」
ナルミ「う…ううう…」
ナルミは頭を抱えている。
ナルミ「な、なんとなくだけど…シンのが怪しい気がする」
シン「え」
ソウタ「だ、だよね!ほらー!もう投票しちゃおうよ」
シン「ま、待て待て。理由を…」
ナルミ「なんとなく…いろいろひっかきまわそうとしてた感じもするし…」
シン「誤解だ、誤解!」
ソウタ「投票!投票しよう!これで勝ちだ!」
洋子「もう投票でいいんですねー?」
シン「待てって。まだ話し合いを」
洋子「うーん、話し合いってつまんない!ほーれ、投票タイム!」
シン「おいー!」
<結果>
ソウタ 2票(シン、ナルミ)
シン 1票(ソウタ)
「……え?」
ソウタが結果を呆然と見つめている。
「ど、どうして俺に…?え??」
「ご、ごめん…」
ナルミはもごもごとそう言って下を向いた。
「ということで、今回のゲームはゲイチームの勝利です!」
なぜ?
なぜナルミは俺に投票しなかったんだ…?
ナルミを見ると、泣きそうな顔をしていた。
「だ、だって俺…こういう時大抵外れるから…怪しくない方に投票したほうがいいんじゃないかと思って…」
「自分を信じてよー!」
俺が…勝ったのか。
なんだかくだらない終わり方だったけど。
村木がこちらに近づいてきた。
「さあ、帰るぞ。あの船に乗れ」
村木が指差した方向には、追放された人が乗り込んでいた船がある。
もしかして、ヤスに会えるのか?
期待に胸を膨らませながら、俺は船の方へと歩いていった。
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