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占い師編(8)
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4日目・昼
リオのせいで睡眠不足気味だが、俺の心は軽かった。
これでやっと、信じてもらえる。俺が本物の占い師だということを!
集合場所に向かう途中、ユキナリと一緒になった。
「ユキナリ、無事だったんだな」
「ああ。集合場所に着く前に、大事な話がある。昨日の夜、あることに気づいたんだ。ちょっとこっちへ来てくれ」
「いいけど…?」
ユキナリに連れられて、人目につかない茂みの中に入った。
「なんだよ、話って……うわっ!」
ユキナリはいきなり俺の背中に手を回し、正面から抱きついてきた。
逃げようとするも、力が強くて抜け出せない。
「やめろ!正気か?!今は真昼間だし、ここは外だし、それに俺は男だ!」
「俺は正気だよ。昨日の夜、あることに気づいたって言っただろう?俺は、男の良さに気づいたんだ」
「お、おい…!」
ユキナリはそのまま俺の頭をつかむと、唇を合わせてきた。
「ん!んんっ…!」
やはり力が強くて、されるがままになってしまう。
そのうちにユキナリは舌も入れてこようとした。必死に口を閉じて抵抗すると、ユキナリは体を上下して、俺の体に熱くて硬いものを擦り付けてきて、驚いた俺は思わず口を開けてしまった。
「はぁ…だめだ、や、めろ…」
このままではまずい。俺はこんなところで終わるわけにはいかない。
ユキナリが俺の下半身に手を伸ばしたその時…
「おい!何をしてる!」
管理人が現れた。
思わず力を抜いたユキナリを思いっきり突き飛ばし、管理人のもとへと走った。
「助けてくれ!こいつが俺を襲おうとしたんだ!」
「なに?お前は無事か?」
「ぎゃっ!」
管理人が俺の息子をわしづかみにして、硬さを確かめた。
「お、大丈夫だな。待ってろ、今ユキナリを捕まえる」
ユキナリは集合場所の方へ逃げようとしたが、管理人に捕まってあえなく船に連れて行かれることになった。
ああ…怖かった。
昨日の犠牲者はユキナリということか。
リオはユキナリが受けだといいって言ってたけど、結局よくわからなかったな。今までは皆集合場所で「尻がー!」とか言ってたからわかりやすかったけど、ユキナリはこっそり襲ってきただけだ。あのままいくと攻めの可能性が高そうだけど、襲い受けという可能性も…って、何考えてるんだ俺。リオのせいで無駄知識が増えてしまった。
集合場所に着いたら、ヤスに声をかけられた。
「シン、遅かったな。心配したよ」
「ああ。さっきえらい目にあって…」
「どうしたんだ?」
話していいものかわからず口ごもっていると、管理人が現れた。
「さあ、今日はもうこれで全員だ。話し合いを始めてくれ」
<話し合いスタート>
残り人数 5人
シン
ヤス
ヤマト
タカシ
トモヤ
×オカ
×カズシゲ
×コウタ
×アツシ
×リオ
×ユキナリ
トモヤ「ついに半分以下になりましたねえ」
そうだ。5人しかいない。しかもそのうち2人は敵側の人間だとはっきりしてるから…あれ?今かなりやばい?
ヤス「リオとユキナリがいないな。どちらか1人が腐女子だったということか」
シン「俺はリオを占った。そうしたら腐女子だったんだ。ヤマトはリオをノンケだと言っていただろう?つまり、ヤマトは偽物の占い師だということだ」
俺は勝ち誇ったようにヤマトを見たが、ヤマトは動じていなかった。
ヤマト「僕はユキナリを占って、腐女子と出た!シンはユキナリをノンケだと言っていたから、シンはやはり偽物の占い師だということだぞ!」
シン「…え」
俺は大変なことを思い出した。
ユキナリは、こっそり俺を襲って、こっそり追放されたのだ。皆はユキナリが襲われたという事実を知らない。だから、リオとユキナリのどちらが腐女子でどちらがノンケなのか判断できないのだ。
ヤス「そうか。じゃあ結局五分五分かー」
タカシ「五分五分ってわけじゃないぞ。ヤマトには、俺という証人がいるからなあ」
タカシが珍しく主張した。ここで一気に俺を潰そうとしているのだろうか。
そういうわけにはいかない。
シン「タカシが嘘を言ってないことは誰にも証明できない」
ヤマト「タカシの他にスパイを名乗る人物はいなかった!つまり、タカシは本物のスパイだ!」
シン「だから、本物のスパイが既にいなくなってた可能性もあるって前に言われてただろう?」
進行役だったユキナリがいないからか、まともな議論にならない。ここは俺が頑張らなければ…。
シン「…じゃあ、仮にヤマトとタカシが本物だとしてこれまでのことを振り返ってみよう。そうすれば、おかしいことに気づくはずだ」
気づくよな?うん。きっとどこかがおかしくなるよな。
ヤス「そうだな。じゃあまず、2日目の昼のことから振り返ってみようか」
シン「2日目の昼は、オカが前日に襲われていなくなっていて、ヤマトがカズシゲをゲイだと言って、カズシゲは追放された。つまり、この日、ゲイはあと1人になった」
トモヤ「そうなりますねえ」
シン「じゃあ、嘘をついた俺の役職は何になるだろう?」
ヤス「それはまあ…ゲイ、じゃないか?」
シン「そうだな。俺が腐男子というのは考えにくい。腐男子はゲイ側の人間だけど、ノンケとしてカウントされるから、自分が残ったとしても意味がない。カズシゲが追放されそうになったとき、カズシゲを全くかばわずに自分の占い師の証明を優先させたことから、俺は腐男子ではないことがわかる」
トモヤ「たしかにそうですねぇ。シンはゲイだと考えたほうが妥当です」
シン「それじゃあ、俺がゲイだとしたら、誰が腐男子なのか、という話をしよう。俺が占い師だと主張したとき、積極的にかばった人はいるか?」
ヤス「それはいなかった気がするな」
シン「その通り。もしも腐男子がその場にいたとしたら、ゲイと思わしき人物に対して、もう少し味方するはずだ。ということは、腐男子は初日に襲われて話し合いに全く参加できなかったオカということになる。ゲイは腐男子と面識はないと初日に透が言っていたから、そういうこともありえるだろう」
ヤマト「特におかしな点はないと思われるぞ!君がゲイということで、投票に移ろうではないか」
シン「いや、おかしい点がある。ヤマトからしたら、俺がゲイなのは明白だったはずだ。じゃあなんでさっさと追放しなかったんだ?俺を追放するという話は、不思議なことに全く出てこなかったな。俺を追放してもノンケ側の勝利にならなかったら、自分が偽物の占い師だとバレてしまうからじゃないのか?」
ヤマト「む…」
シン「反論はないのか?ないよな。お前が偽物だからだ」
ヤマト「ぼ、僕は嘘など…」
ヤマトは言葉に詰まっていた。このまま押し切れるだろうか。
ヤマト「僕は…僕は……」
タカシ「その時点でシンを追放しても、ノンケ側の勝利にはならない。なぜなら腐女子を追放できていない可能性があるからだ。朝になって全員無事だったことはないし、2人やられたのも今朝が初めてだ。ゲイは確定してるんだから、泳がせておいて腐女子を探したほうがいい。そうだよな、ヤマト?」
ヤマト「あ…えと……」
シン「俺はヤマトに聞いてるんだよ。どうしてタカシにヤマトの気持ちがわかるんだ?そうか。2人がグルだからか。一緒に男を襲ってるんだもんな」
ヤス「まあまあ、3人とも落ちつけよ。ケンカみたいになるのはよくないぞ」
シン「俺は無茶苦茶なことを言ってるわけじゃない。あんなにうろたえるヤマトがおかしいんだ。ヤスにもわかるだろう?」
ヤス「それは…」
タカシ「ヤマト、なんとか言ってくれよ。俺が口を挟むとあんまりよくないみたいだからな」
ヤマト「ぼ、僕は……もう無理だ…」
タカシ「ヤマト?」
ヤマト「僕はこれ以上、嘘をつけない。頭が働かない。もう無理だ。そうだ。僕は偽物だ。僕はゲイだ。オカもコウタもユキナリも、僕が襲ったのだ!」
ついに、ヤマトが降参した。
終始ゆったりとしているように見えたタカシが、焦ったような顔をしている。
勝った。俺はヤマトに勝ったんだ…。
ヤス「ヤマト…本当なのか?」
ヤマト「そうだ。僕が、ゲイなのだ」
ヤス「そうか…。じゃあどうする?投票に移ろうか」
投票、と言われてふと我に返った。
何か違和感を感じる。
追い詰められたヤマトが混乱して自白した。そういうことで、本当にいいのか…?
シン「いや、待ってくれ。もう少し話し合わないか?」
ヤマト「これ以上何を話し合うのだね?僕はもう疲れたのだ。さっさと終わらせてくれないか」
よく考えると、俺は別にそこまで徹底的にヤマトを追い詰めたわけじゃない。タカシの言うような反論もできる。真っ先に占い師を騙るなんてこなれたことをしてきたヤマトが、あっさり自白したのはなぜなんだ?
シン「ヤマトは…本当にゲイなのか?」
ヤマト「さっきからそう言っているではないか」
心なしか、ヤマトはイライラしているように見える。
シン「ヤス、この場に残っているのは、どの役職の人なんだろう?」
ヤス「えっと…まずシンが占い師で、ヤマトがゲイで、タカシもゲイで、俺とトモヤがノンケってところじゃないか?」
シン「いや…1つ忘れている。ゲイ側には、腐男子もいるはずだ。ヤマトもタカシも嘘をついていたのは確かだが、両方ゲイとは限らない。どちらかがゲイで、どちらかが腐男子という可能性もある」
トモヤ「そうですねぇ。でも、真相はわからないわけですし、とりあえずヤマトを追放して、次にタカシを追放すれば良いのでは?」
シン「この場にゲイが1人しかいなかったら、それでもいいだろう。でも、そうとは限らない。この場にゲイが2人いたとしたら、腐男子を追放した時点で、ゲイとノンケが同数になって、ノンケの負けが決定する」
ヤス「ゲイが2人、腐男子が1人まだ残っていたらまずいってことか」
シン「そうだ。そして、その可能性は十分にある。この場にゲイが2人、腐男子が1人残っていて、ヤマトが腐男子だった場合、さっきのヤマトの自白の意味がわかるんだ」
ヤス「自白の意味?」
シン「ヤマトは腐男子であるのにゲイと偽って、わざと追放されようとしているんだ。さっき言ったように、腐男子が追放されれば、ゲイ側の勝ちとなるからだ」
ヤマト「だ、だが…そんなの全て仮定の話だ。もしゲイが2人いたら、もし腐男子が残っていたら、そういう話だ」
シン「たしかにそうだよ。机上の空論だ。でも、そういう可能性が残っているなら、ヤマトを追放するのはやめたほうがいい。タカシを追放する方が、より確実だ」
トモヤ「そうかもしれませんねぇ」
シン「それに、タカシがゲイ、というのはほぼ確定的だ。3日目の昼、俺とヤマトのどちらが本物の占い師と判定されるのかは、スパイ次第だった。そこでタカシは、迷わず名乗り出てヤマトの味方をした。もしタカシが腐男子だった場合、俺とヤマトのどちらが偽物なのかは見分けがつかないはずだ。タカシがゲイであれば、ゲイでない人にゲイだと占ったヤマトが偽物であることは自明なんだ」
トモヤ「なるほど…それならタカシに投票することにしましょ」
シン「ああ、そうしてくれ。さあ、早く投票だ、投票」
ヤス「シン、どうしてそんなに急いでるんだ?」
シン「なんでもない。早くやろう」
俺は気づいてしまった。ノンケ側は、既に負けている。
ゲイが2人、腐男子が1人、ノンケが2人。
俺はそういう状況を想定している。
腐男子はノンケとカウントされるから、現在ゲイが2人、ノンケが3人ということになり、ノンケは負けていない。
でも、腐男子はゲイ側の人間だ。投票の時にノンケの味方はしてくれない。
ノンケ2人でゲイであるタカシに投票したとしても、ゲイ側3人が団結してノンケに投票したら、もうそこで負けだ。
もちろん、この状況にゲイ側が気づいていなければいけないし、気づいていたとしても誰に投票するのか目配せなりで打ち合わせしないといけない。
その時間を与えないためにも、早く投票しないといけないのだ。
<結果>
タカシ 3票
シン 2票(タカシとヤマトによる)
結局、タカシが追放されることとなった。
しかし、そこでノンケ勝利とはならなかった。
「どうやら、まだゲイがいるようだ。明日も話し合いをすることにしよう」
管理人がそう宣言して、解散となった。
ゲイがまだいる…やはり、ゲイは2人いたのだ。
ヤマトの自白に俺が考えたような意図はなく、本当にヤマトがゲイだったということか、それとも…
俺はヤスとトモヤをそっと見た。
この2人のうちどちらかがゲイなのか?
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