アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
人狼vs狩人編(21)
-
6日目・昼
side:シン
昨日はえらい目にあった。まさかショウヤがあんなに口悪かったとは。俺、実は相当嫌われてたんだろうか。
そんなことを考えながら集合場所に向かう。
今日でゲームは終わってしまうかもしれない。負けたところで不利益はない。でも勝てたら願いを叶えてもらって…ヤスが俺だけを好きになってくれるかもしれない。
集合場所に揃っているのは4人。
「わーいわーい!やっとゲームが動き出しましたね!わたしのためのゲームですもん。こうでなくっちゃ!」
よほどハイテンションなのか、洋子がぴょんぴょんしながらしゃべっている。
「今日はこれで全員です。ゲイの人は今日を乗り切って、わたしにもっとセックスを見せてくださいね!」
「洋子ちゃん、下品な言葉使っちゃダメだよー」
「あらあら、じゃあなんて表現すればいいかしら?」
「それはね……」
透が洋子の耳元で何かをささやく。
「ふふ!ふふふ!透くんも大概下品ね!」
「こら、そこ、いちゃいちゃしない」
村木が透と洋子を引き離した。
「あれ?村木くん、嫉妬してるのかな?」
「はあ?そういうわけじゃ…」
「おい、早く始めてくれないか?」
茶番を繰り広げる3人に嫌気がさしたのか、ミコトが口を挟んだ。
「ミコトくん、やる気まんまんね。ごめんね、早く始めましょう!」
「やる気まんまんではない」
「わかった!ミコトくんは、やる気まんまんこなんだな」
「………」
ミコトは下ネタが苦手なようだ。
<話し合いスタート>
残り人数 4人
シン
ナツキ
ソウタ
ミコト
×マサジ
×ヒロ
×ヨウ
×ミノリ
×アラン
×エドガー
×ショウヤ
ミコト「おいソウタ」
ソウタ「は、はい?なに?」
ミコト「お前どうしてショウヤを守らなかった?襲われてるじゃねえか」
ソウタ「ご、ごめん…昨日のはハッタリだったんだ。ああ言えばゲイがショウヤを襲わなくなると思って」
ミコト「ちっ…」
何も文句がつけられなかったからか、ミコトは舌打ちだけして黙りこんだ。
ナツキ「でもさ、そんなのどうだっていいよ!だってゲイはシンだもん!」
シン「俺じゃないよ。ゲイはナツキだ」
ミコト「昨日はここで終わったんだったな」
ソウタ「えっと…ちなみに、スパイはどうだったの?」
ナツキ「え?ああ…エドガーはゲイだったよ」
シン「もう一人のゲイは、ナツキで決まりだ。スパイ騙りをしていて、真のスパイであるマサジは寝ていてそれに気づかなかった」
ソウタ「えーと、一晩考えてみたんだけどさ…」
ソウタが遠慮がちに話し始めた。
ソウタ「シンの意見は、やっぱりちょっと無理があると思うんだよね。寝ていて気づかなかったにしても、マサジも追放されそうになったらさすがにスパイだって言うだろうし…」
ミコト「そうだな。それにおかしい点はもう一つある。4日目のスパイについてだ。ナツキは腐男子であるミノリに対して不利な発言をし、結果ミノリは追い出されてしまった。ゲイだったとしたら、そんなことわざわざするはずがない」
ナツキ「おお!そうだそうだー!」
シン「全て計算かもしれない。自分がゲイだと思われないための」
ミコト「俺にはこいつがそこまでできるとは思えない」
ナツキ「そうだそうだー!……ってあれ?今悪口言われた?」
シン「いや、これも全部計算で…」
ソウタ「…シン、さすがにもう無理だよ。ナツキはゲイには見えない。証拠もない」
シン「いいのか?ここでゲイを追放しそこねたら、ノンケの負けだぞ?そしたら願いは、願いはもう…」
…あれ?
どうして?
ナツキ「シン?どうした?大丈夫か?」
シン「願い…お、俺は…俺には願いがあって…」
どうしてだろう。
急に涙が出てきた。
シン「願いが叶うなんて、そんなことでも起きない限り、ヤスは、ヤスは…」
ミコト「おい、情緒不安定か?いきなり泣かれても困るんだが」
シン「俺にはどうしても、叶えたい願いがあるんだ。だから、勝ちたいんだ。勝たせてくれよ…」
ミコト「泣き落としか?通じるわけないだろ」
ソウタ「な、何があったのかよくわからないけど…そんなに叶えたいことなら、自分の力で叶えられるんじゃない?」
シン「無理だよ。俺にはどうせ、ヤスを夢中にさせられるような魅力がないんだ。だからヤスは他の人の所に行っちゃうんだ」
これ以上しゃべっちゃだめだと思うのに、言葉が次々と出てきてしまう。思っていても誰にも言えなかったことが、次々と。
ナツキ「俺もよくわかんないけどさ、そんなのヤスってやつが悪いだろ。もう、いいじゃん。とりあえず投票しちゃお」
そうだ。ヤスが悪い。頭ではそうわかっている。
でも仕方ない。好きになってしまったから。
ソウタ「え、えっと、何か力になれるかもしれないし、いつでも相談にのるし…」
シン「お前は嫌だ」
ソウタ「…?!」
ミコト「くだらんやりとりは終わりにするぞ。投票に移ってくれ」
<結果>
シン 3票
ナツキ 1票(シンによる)
「シンくんが追放…ということで決着がついてしまいました…」
洋子は明らかにしょげている。その様子を見ていたら、どうしてか冷静になってきて、涙も止まった。
「よ、よかった。シン、泣き止んだね」
「…ああ」
「まあまあ、シンくんなんてほっといて、勝った君たちには賞品を差し上げよう!」
透がすっと前に出てきた。
「せっかくここに残っているし、今すぐ叶えてあげちゃうね。残りの人の所は後日伺います!それじゃまずはミコトくん。どんな願いを叶えてほしい?」
「本当にあるのかそれ…そうだな、俺は実家のリフォームをしてほしい」
「うわあ、生活感溢れる願い事ありがとう!あとでリフォーム費用を君の口座に振り込んでおくね。じゃあ次はソウタくん」
「えっと…どんな願いでもいいんだよね?」
「うん。男性を妊娠させる程度の力ならあるよ」
「お、俺…植物と会話ができるようになりたい!」
「ファンタジー感満載の願い事ありがとう!後で植物語辞典と文法書を郵送しておくね。最後にナツキくん」
「うーん、願いとか特にないし……あ、そうだ!」
ナツキはにこっと笑って俺を見た。
「シンとヤスって人が上手くいきますように」
「え…?!」
「うーん、わかったわかった。お安い御用だよ。ナツキくんは無欲だね」
「ナツキ…!俺、お前をはめようとしてたのに…優しいんだな」
感動してナツキに駆け寄ろうとすると、ナツキははっとした顔を浮かべた。
「そ、そうだったじゃん!シンお前ー!取り消し、取り消しだ!」
「あー、ごめんね。もう作業は完了しちゃった」
「くそー!!」
ははは…と笑っているうちに、俺の気分はずいぶん軽くなっていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
63 / 151