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3人人狼編(6)
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2日目・昼
side:シン
昨晩部屋に戻ると、意外なほど真面目な話し合いが繰り広げられていた。
ゲイが3人もいるのだから、積極的に嘘をつく人がいてもいいだろうということで、ヤスは占い師を騙ることになった。
そして何かあった場合、俺が嘘をついてフォローに回り、アランはノンケとして行動しつづけるということにした。
意外だった。ヤスはともかく、アランが作戦を立てたがるとは。そんなにやる気があるようには見えなかった。
まあ…あいつのことは気にしないようにしよう。他に何人いようとも、俺がヤスの彼氏であることに違いはない…はずだ。
ところで、俺は廊下を1人で歩いている。
朝起きたら、「13時に玄関に集合」という洋子からのアナウンスがあったのだ。
3人で行ったら明らかに怪しい、ということで、時間をずらして別々に向かうことになった。最初に出発したのは俺だ。2人は部屋に残っている。全然気にならない。全然。
玄関ホールの扉を開けると、既に数人が来ていた。
「お、おはよう…」
とりあえず、一番近くにいた人に話しかけてみた。いかにも、わけがわからない、という感じで。
「ああ」
なんともそっけない返事が来た。こちらをろくに見もしない。
こんな状況、不安で誰かと話したくなるはずだと思うんだけど。
…人見知りかな?
「俺、シンっていうんだ。君は?」
「シン…」
その人は小さく呟いて俺を見つめた。
「えっと…どうかした?」
「別に。ただなぜかこう…胸がすっきりした気がした」
「へえ…」
わけがわからない。
それは向こうも同じなのか、不思議そうに俺を見ている。
「えっと…ところで名前は?」
「ショウヤだ」
ショウヤはそう言うと、話は済んだとばかりに顔を背けて完全無視体制をとった。心が折れそうだ。
そこから先は、特に誰かが話すわけでもなく、無言のままパラパラと人が集まり、最後にヤスが来て全員集合となった。
しばらくすると、洋子の声がスピーカーから流れた。
「みなさん、ごきげんよう!えへへ、ごきげんようなんて言っちゃいました。これもキャラ作りの一環です!お嬢様はお嬢様らしいほうが結婚相手も喜ぶと思うんですよ。…て、そんなことより!みなさん、はやくはやく、その玄関の外に出てきてみて!驚きの光景が広がってるからね!うふふふふ」
…驚きの光景?
いったいなんだろう。建物に入る前は、特に印象に残らない普通の住宅街だったと思うけど。
全員なんとなく動けないでいると、ヤスが明るく話し始めた。
「えっと…よくわかんないけどさ、とりあえず、開けてみない?あ、ちなみに、俺はヤスっていうんだ。よろしくな!」
相変わらず人当たりがいい。こうやって色んな人の懐に飛び込み、股をかけまくってるんだろうか。
「そうだね。このままでいてもどうにもならないし」
優しそうな声の人がヤスに応じた。
「僕はカエデ。よろしくね」
「よろしく!じゃあここで全員自己紹介でも」
「まだ動かないのか?」
2人の会話を断ち切るように、イライラした様子で誰かが声を上げた。振り向くと、気の強そうな美形の人が立っていた。
「くだらない話をしてる暇があったら、さっさと扉を開けたらどうだ?」
「そうだね」
ケンカになるかと思いきや、カエデがさっと答えた。
「ごめんね、えっと…君はなんて名前?」
「どうでもいいだろ。とにかく今は外に出るぞ」
「うん。そうだね!これで帰れるかもしれないしね」
…残念ながらそれはないだろう。あの4人のことだから。
「な!俺開けていい?開けてみたい!」
頭の悪そうな大学生風の人が手を挙げた。
「あはは。別にいいよ。君はなんて名前?」
カエデと気の強そうな人とのやりとりを黙って眺めていたヤスが声をかけた。
「俺はアキラ。じゃ、開けるぞ!」
扉の先にあったのは…
「……海?」
ここは、どこにでもあるような住宅街だったはずだ。
ところが、目の前には砂浜と海が広がっている。
なんだなんだとざわめく俺たちの前には、透、村木、洋子の3人が立っていた。
洋子が大きく手を振った。
「はいはいみなさんご注目ー!改めまして、わたしは洋子です。今回もこの乱交パーティーに参加させていただくことができて、本当にうれしいです!」
「洋子ちゃん、そんな言い方したらみんなびっくりしちゃうでしょ?これは乱交パーティーではありません。この島では強姦してもオッケーだよってだけ」
「透…誤解を招くような言い方するなよ。この島ではルールに則って強姦ができるってだけだ。…あ、ところで、突然島にいて驚いたと思うけど、昨日泊まってたあの建物、実は船だったんだよ。ははは。俺の財力」
「やっぱり会場はこの島じゃないとねー。そんなわけで…まあ、詳しいルールは昨日わかってもらえてるよね。もうゲームは始まってるんだし」
透が楽しそうに話す。
俺はヨウのことを思い出し、嫌な気分になった。
「始まってるって、どういうこと?」
近くにいた人がつぶやいた。
「えーっと、じゃああなた!あなたから自己紹介してもらおうか。そこから時計回りに。そしたらわかるよ」
村木は俺たちを砂浜に円状で座らせた。
村木に指名されたのは、俺と同年代くらいの普通そうな男だ。
「俺はハヤト。儲かるバイトがあるって聞いてきたんだけど…馬鹿だったな」
そこでめげずにバイト代をせしめる根性があるかどうかだな。
…で、次は俺か。
「俺はシンだ。同じく、儲ける為にここへ来た」
次はショウヤだ。
「ショウヤ。よろしく」
シンプルこの上ないな。
ショウヤの隣の人はぼそぼそと話し始めた。
「僕はナルミ…こんなことになったのは、きっと僕のせいだよ。僕って本当に運が悪いからさ。巻き込んじゃってごめんね」
目が淀んでいる。大丈夫だろうか。
「お、俺は、ソウタ!」
次の人は噛み気味で話し始めた。
「こっ、ここだけの話、俺は最近植物と会話できるようになったんだ。こいつ、案外意地悪なんだ。ふふ。そこがまた、ふふっ、かわいい」
ソウタは隣に置いた水槽に何やら話しかけている。中には水草が生えているようだ。…うん。気持ち悪いな。
「じゃあ次は俺かな!俺はアキラ。ナイストゥーミートゥーだ!」
笑顔が眩しい。これはただの馬鹿だな。
次は…あの人か…。
「僕はアランです。よくわからない状況ですけど、みんなで頑張りましょうね!」
アランこそよくわからない人だ。ヤスの浮気相手のうちの1人…ってだけなら、別にいい…いやよくない…けど…。
アランの次の人は…ぐっすり寝ている。なんとまくら持参で。
アランに揺り起こされ、半目のまま口を開いた。
「俺は…マサジ…。最近いい枕が手に入って、生活そっちのけで、ねている…」
そう言いながら寝た。
次はカエデだ。
「さっきも言ったけど、僕はカエデ。早く帰れるように、力を合わせて頑張ろうね」
いい人オーラが出ている。
やっぱりこういう人を見ると安心するな。人当たりのよくて常識のありそうな人。
…最初は、ヤスもそういう人だと思って好感を持ってたんだけど。
「俺はミコト。以上だ」
イライラの人がイライラしながら話した。あまり関わりたくはないな。
「ずいぶん短いなあ。先に進めていいんですか?」
ミコトの次の人は全く気にせずミコトに問いかけた。
「…ふん。十分だ」
「わあ不機嫌だ。どうも。俺はゴロウです。美味しい定食屋があるって聞いて来たんだけど、とんだ勘違いだったな」
マイペースそうな人だ。あの建物、明らかに定食屋ではなかっただろう。
「次は俺か!俺はナツキ。これはおそらく、サプライズだな!俺の誕生日のための」
「ナツキくん、誕生日なの?おめでとう!」
カエデがにこやかに拍手した。
「いや、俺の誕生日は、当分先だ。気が早いやつらめっ」
幸せな性格してるな。
そして…
「俺はヤス。仲良くやろうな」
ヤスがにこっと笑って締めくくった。
「ああ…長かった。つまらない自己紹介はこれでおしまい。さあ!お気づきかな、皆さん」
透が声を張り上げた。
「はい!はい!俺気づいた!」
アキラが無邪気に手を挙げた。
「うわあ気づいてなさそう…まあ、どうぞ」
いかにも面倒くさそうだ。たしかに、なんだか頭悪そうだしな。
「一人足りないよね」
「…え?」
「名簿だと、14人だったでしょ?今、13人しかいなかったよ」
無邪気な表情を変えず、当たり前のように答えている。
「じゃあ…どうしてかわかるかな?」
透が面白そうに尋ねる。
「どうしてか……あ!!わかった!」
アキラは得意げに大声を出した。
「トイレ行ってるんだな!こんなに長いってことは…大だな!」
「うん違う」
「うんち?やっぱりうんちだよね?」
「えー……馬鹿はほっといて。なぜ1人足りないかというとー、昨日ゲイに襲われちゃったからでーす!」
場が静まりかえった。
「襲われ…た?」
誰かが呆然とつぶやいた。
途端に、反応が大きく広がっていく。
「襲われたって、そんなの…強姦じゃないか!」
「平然と何言ってんだ!犯罪だ!」
「サプライズにしても度が過ぎるぞ!サプライズ…だよな?」
「水草たん!助けてよお!」
「むにゃむにゃ…」
「はーい静かに静かに!そして、誰かマサジくん起こしてあげて」
透は石を取り出した。
「残念ながら、ここは無法地帯です。この石があればどんなことでもごまかせます」
透は楽しそうに続ける。
「これは、なんでも願いが叶う石。皆さんの賞品は、この石の力を1回使うこと。そして同時に、これは僕の脅しの道具でもあるわけだよ!」
あの石…最初のゲームの後で見つかったってやつだよな。ただでさえ不思議な力を持っていそうな透が、あんなチートアイテムを持ってたらもう勝てっこないだろうな…。
「もう!透くんったら、前置き長いです」
そこで洋子が不満そうに口を挟んだ。
「さっさと話し合いを始めて、さっさと終わらせて、もっと夜の時間を堪能しましょうよ!」
「うん、そうだね、洋子ちゃん。ぱぱっと始めちゃおう。後は任せたよ」
「任されました!それでは話し合い、スタート!」
洋子はばーんとポーズを決めた。
そしてもれなく全員ぽかんとした。
「えーと…話し合いって何?」
ハヤトが首を傾げた。
「話し合いは話し合いです!ルールにあったとおり…」
「うーんと、ルールって…?」
「え、え……?どうしてこんなに話が通じないのかしら?」
戸惑う洋子に対し、村木が久しぶりに口を開いた。
「たぶんな、みんなルールをちゃんと把握してないと思うぞ」
「どうしてかしら?ちゃんとルールブックを配ったというのに…」
「真面目に読んでる人のが少ないと思うなぁ」
「ええっ…?!こんな素敵なゲームのルールを?!」
「残念ながら、この子たちは洋子ほどのやる気はないんだな」
「くっ…仕方ありませんね。ここで一時、ルールをもう一度確認する時間を取りましょう!」
洋子はパンパンと手を叩いた。
「みんな、真面目に取り組んでね」
透はにやにやしながら石を弄んでいる。
「真面目にやらない人がいた場合、石を使ってこの場の全員を操り、その人を輪姦させるからね」
一瞬にして全員がルールブックを読み始めた。
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