アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
はる
-
でも、その空気は、一言で凍った。
「あのさ、斎藤さん見たよ」
ぴき、と音がなった気がした。
「へ、へえ…」
「ごめん。でも、言うべきだと思うからさ。……なんか、知らない男と一緒だった」
ぱき、と何かが崩れる。
「ごめんね」
「う、ううん…だい、じょうぶ。ちょっと席外すね」
出そうな涙を堪えて、用意してくれた自分の部屋にはいる。
「…ぅ……っ」
悲しいのかなんなのか。
涙が止まらない。
携帯をポケットから出して、連絡先からある番号に電話する。
すぐだった。
『祐樹くん?』
「信乃、さん」
この人に恋愛感情はない。
ただ、悩みを打ち明けたから。
優しい、人だから。
『なぁにぃ?』
「ぼくっ……あのっ」
待ってくれる。
言葉を、待ってくれる。
「…今、高校の時からの、付き合いの、はるの家にいるんですっ」
『うん』
泣いて濁った声を、優しくきいてくれる。
「ぼく、多分、しばらくは、戻らないんで…玲……に、伝えてください」
語尾が消えていく。
『いいけどさぁ……玲ちゃん今いないんだよねぇ』
「は…?」
“知らない男と一緒だった”
嫌な想像がめぐる。
『あれ。浮気相手のとこだよ。祐樹くんみたいにね』
「あ、そうです、か」
『他には?』
「だいじょうぶ、です。すいません。電話しちゃって」
『じゃあ、おやすみ』
未練なんかない。
僕は自分から振ったんだ。
ねえ…今日、また縋っても良い?
はる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
71 / 205