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繋がり 終わり
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「えっと……玲?」
その言葉にバッ、と顔をあげられる。
そして驚いた顔。
「お前……」
「ごめん、怪我してない?」
「あ、ああ」
「なら良いんだけど…」
別れたもの同士、会話なんて続かない。
沈黙の中、落ちたものをひろっていた。
「祐樹」
「えっ、ん?」
「悪かった」
思考のフリーズ。
それは、ぶつかったこと?
それとも、ふったこと?
「大丈夫だって……ほら、ね?怪我してないし」
とりあえず、怪我のほうだと考える。
「それじゃなくて、黙ってたこと」
「っ…………、あ、それ?」
笑顔がこわばる。
こんな経験したことない。
はるは、もっと自然だったから。
「それで、信乃から番号聞いて電話したんだけど…」
「へ?いつ?」
「昨日」
「……?ごめん、出れなかった、うん。何か用あった?」
「今、誰と付き合ってんの?」
は、と笑ってしまう。
なにそれ。
玲も、付き合ってんじゃん。
教えてくれなかったじゃん。
いつまでたってもそこから動かない僕たちに冷たい視線が刺さる。
でも、それ以上に今の状況が辛い。
「もう恋人の関係なんかないから玲には関係ないじゃん」
声が震える。
「は…?」
「玲も教えなかったくせに、今更言われても、さ。俺には好きな人がいるんだ。その人は受け入れてくれた。玲みたいに浮気はしないよ。だから……じゃあ、そろそろ帰らないと心配されるから。拾ってくれてありがと」
さっと、立ち上がって階段をのぼりだす。
ホームにつけば、電車がちょうどきた。
視界に階段が入って、玲の後ろ姿が見えた。
席は空いていたけれど、ドアのそばに立っていた。
「っ……ふ、ひっく」
流れていく景色に、関係が終わったことを知らされるようだった。
流れてくる涙に、別れを惜しんでる自分がいる気がして、苦しくなった。
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