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痕
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つぷ、とはるの指が入ってくる。
「んあ、あっ…ぅ」
「大丈夫?痛くない?」
心配そうなはるが顔を覗き込んでくる。
「だい、じょぶ…っ」
「そっか」
指が二本になって、奥へと指を進めて行く。
「あぁん、ん、ふっ」
探るように、進めるように指を動かされる。
やっぱり、この手が好きだ。
優しい、長い指で。
僕をしあわせにしてくれる。
「いれたい、な」
ずる、と指が抜ける。
「え?」
「いれていい?」
みるみる熱が冷めていってしまう。
「いいから、はる、好きだからっ」
「うん。俺も好き」
少し声が揺れていた。
不安になって、はるの顔を覗き込んだ。
「は、る…?」
「ごめん。ごめん…守れなくて、ごめん」
それに熱をすぐに冷まされた。
はるは、泣いていた。
潤んだ目から、ぽたぽたと滴が落ちる。
「どしたの?」
「ごめん、もっと、大事にしてれば…」
「何が?」
さっぱりわからない。
なんで泣いてるの?
「これ」
すっ、と脚の、左の太腿を指でなぞられる。
さっきだったら喘いでいただろうけど、ムリだ。
「ぁ……」
「この、傷…見たら、なんか……申し訳なくて…っ」
太腿に薄く残っている、切られた痕。
「前は気づかなかったけどっ、見えたら…ごめん、ごめんな」
前から変わらない。
この傷を見たら、いつも謝る。
悪い、ごめん、ごめん。って。
線が引かれたような傷痕。
それがついたのは、高校生の時だった。
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