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暗い部屋
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「……何処だよ、此処……」
俺【里中 司】は、気がつくと暗いスタンドの明かりしかない薄暗い部屋の椅子に座っていた。
自分が何で此処に居るのかなんで座っているのか分からずに、とりあえず立ち上がろうとするとガチャンと音がして椅子に視線を移すと、しっかりとした鉄の手錠が手と足にはめられていた。
「……何だよ……これ」
初めて本物の手錠を見て、ガチャガチャと動かしても一向に外れる気配がない。誰かの悪戯にしても度が過ぎている。
もしかしたら、誘拐か事件に巻き込まれたのかも知れないと考えると嫌な汗が背中に伝った。
もし、殺人事件だったとしたら、逃げようとしたら殺されるかも知れないという考えが浮かんでくる。
俺は、手錠が外れないかともう一度ガチャガチャと動かしてみても一向に外れる気配すらしなくてため息を吐いた。
逃げられない以上、騒いで体力を使っても勿体ない。とは言っても、このまま何もしないで殺されるのを待つなんて死んでも嫌だ。
そんな事を考えていると、昔読んだ密室がテーマになっている、ミステリー小説を思い出した。
その小説の内容は、今の状態と結構似ていて、俺は小説の主人公と同じように、辺りの事を調べようと目を凝らした。
部屋には、俺の座ってる椅子とスタンドしか置いてないらしい。目を凝らしてみても絶妙な薄暗さで辺りをしっかりとは見ることが出来ない。
ただ、ポタポタと一定のリズム水滴が垂れる音が耳をすませば聞こえてくる。もしかしたら、地下なのかもしれない。それに、さっきよりやけに肌寒い気がする。
「なんだか肌寒いな……」
体をさすって、温めたいのに手錠で出来ないもどかしさに、段々と恐怖は感じなくなって、この状況に嫌気がさしていると、ガチャリと扉が開く音がした。
俺は、扉の音にハッとして嫌気なんて何処かへ飛んでいった。
その代わり、俺を誘拐した奴だったら?もし殺人鬼だったら?と悪い考えがぐるぐると頭の中を巡る。
俺は、取りあえず逃げなければと思いガチャガチャと手錠を動かすが、やっぱり外れない、今度はもっと強い力で手錠をガンガンと引くと手首に痛みが走った。
痛みが走っても気にしている余裕なんて無く手錠をガンガンと強く引く。俺は、何回かガンガンと手錠を引くと手首に血が滲んでいるような気がした。
暗闇の中で、怪我しているかどうかなんて見えるはずもなく、俺は手錠をガチャガチャと動かしながら辺りを見渡してみると人の気配も物音もしない事に気がついた。
「気のせい……?」
気のせいなのかと思って安心していると、ガチャガチャとドアノブを回す音がした。
安心した心が簡単に崩れ去って、恐怖に支配される。俺は、手錠を動かしながら身構えていると後ろから抱きしめられた。
人の気配がしなかった筈なのに、突然後ろから抱きしめられて俺は固まってしまった。
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