アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
熱
-
side 碧斗
闇医者、というからどんな人なのかと思ったがやはり兄弟なのだろうか。
なんというか、裕人にそっくりだった。
快く治療を引き受けてくれて、薬まで置いていってくれた。
「早く、熱が下がるといいな」
相変わらず呼吸は苦しそうだが、青かった顔は赤くなってる。
良いのか悪いのかはわからないが、まぁ青いよりはマシなのか……?
「汗、かいてんな」
タオルを持ってこようと、立ち上がると服を掴まれた。
それは本当に弱々しい力だった。
「……か、ないで」
「ん?」
消えてしまいそうな程の微かな声。
ベッドの傍に座り、そいつの紡ぐ言葉に耳を傾ける。
「いたいこと…しないで……」
「しないよ」
「くるしいこと、しない、で……」
「うん、しない」
「ひとりにしないで……」
「しないよ。そばにいるから」
「たす、けて……ぃ…して……」
徐々に小さくなっていく声。最後の言葉はほとんど声になっていなかった。
でも、きっと“愛して”だ。
そっか……愛して、もらえなかったのか。
「……こんなに、頑張ってるのにな」
また眠りに落ちたそいつをベッドに寝かせ直し、額に張り付いた髪を払ってやる。
きっとコイツは、誰よりも頑張って、誰よりも我慢している。
それなのに、なんでこんな目に遭わなきゃいけないんだろうか。
その小さな姿を眺めながら、俺はコイツをこんな目に遭わせたやつに腹を立てた。
「不思議だな」
なんで、会ったばかりのやつがこんなに気になるんだろうか。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
4 / 48