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我慢
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「どうして、怒らない……ですか…?」
「え?」
真白をベッドに座らせ、床を吹いているとそんな言葉が降ってきた。
声が震えている。泣いているのかと思ったが、泣いてはいなかった。
「そんなに、僕が嫌ですか……? 殴らないのも蹴らないのも、僕に触りたくないから……怒らないのは、僕なんかどうでもいいからですか……?……どうせ、また捨てるなら…気まぐれで、優しくなんてしないでください……!」
ぎゅっと目を閉じ、服の裾を握りながら真白は震える声でそんなことを言った。
その、あまりに悲痛な声に俺は何も言えなくなってしまった。
真白がベッドから降り、俺の服を遠慮がちに掴んでくる。
「お願いします……殴って、ください…っ…蹴って、首を締めて……無理矢理……犯して、も…良いです、から……。お願いします……痛いのも、苦しいのも我慢できる……でも、でも……必要と、されないのだけは、我慢できないんです…っ…性処理でも…ストレス発散でも…何でもしますから…!」
震える手、震える声。
本当は怖いんだ。
殴られるのも蹴られるのも、犯されるのも嫌なはず。
でも、そんなことでしか、コイツは今まで必要とされてこなかったんだ。
拒否されれば殴られる。気に食わなければ捨てられる。
そんなことに怯えながら、ずっと生きてきたのか……。
ずっと、耐えてきたのか——
「真白」
そっと真白を抱き締める。息を呑むのがわかった。
でも離さない。
教えてやらなきゃ。
もう怯えなくても、我慢しなくても良いんだ。
「真白、よく聞け。俺はお前を殴らない。お前が傷つくようなことも怖いこともしない。もちろん、捨てたりなんかしない。お前はここにいていいし、怯えなくても良いんだ。ここに、俺の側にいて欲しい」
「……嘘、だ…」
「嘘じゃない」
何度も何度も、嘘だと繰り返す真白。
その度に俺も嘘じゃないと繰り返す。
嘘じゃない。俺はお前を捨てない。
だから、頼む。
少しでもいいから、俺を信じてくれないか。
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