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夢の中
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何度イったのかわからない。
もう声も出ないし、体も動かないし、イっても出なくなった頃。
お父さんはようやく僕を開放した。
手錠が外れると、床に思い切り顔面を打った。掠れた汚い呻き声が出る。
「あー楽しかった。みーくん、お片付けよろしくね。まーくんは動けないみたいだから」
「うん、わかったよ父さん」
ドアの開く音。閉まる音。
だんだん意識が朦朧としてきた。
眠い。寒い。痛い。気持ち悪い。
「……どうしてお前ばかり、父さんに愛してもらえるんだろうね」
突然、声が降ってきた。聞き覚えのある声。
懸命に首を動かすと、ベッドの上に座っている男の人と目が合う。
傷のない綺麗な体。僕とは、正反対。
目が霞み、頭がぼーっとしてくる。
「俺達の……なのに、どうしてお前ばかり……」
あの人が何か言っている。聞かなければと思うのに、その意志に反して僕の感覚は徐々にその機能を閉ざしていく。
「お前なんて」
それなのに、聞きたくない言葉だけはどうしてかいつもはっきり聞こえてしまう。
「生まれてこなければ良かったのに」
その言葉を最後に、僕は意識を手放した。
目を開けると、真っ白な空間に立っていた。
おかしいな、僕は立てないのに。
そこまで考えて、これが夢なのだと気づく。
自覚のある夢なんて初めてだ。
『よう』
いきなり声をかけられ、びっくりして飛び上がりそうになってしまう。
でも、怖くはなかった。
どこかで聞いたことのある声。優しくて、あたたかい。
『こっちだよ、こっち』
声のする方へと目を向ける。
少し離れたところに、座り込んでいる男の人がいた。その足元でぴょこぴょこと動く、小さくて白い何か。
そろそろと近づいてみると、だんだんその姿がはっきりしてくる。
『うさぎ……さん?』
『おう』
わぁ、うさぎさんが喋ってる!
『うさぎさん、喋れるの?』
『夢だからな』
『そっちの人は、話せないの?』
首を傾げると、その人は少し悲しそうな顔をした。
その顔に、何故か胸のあたりがきゅうと締め付けられる。
僕は、この人を……知っている?
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