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宣戦布告 2 (龍之介side)
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「……惚れた相手に触れたいと望んで、何が悪い?」
遠くリングを見つめる瞳が、静かな怒気を孕む。
己の心と真っ直ぐに向き合う男気に溢れた姿が眩しかった。
同時に己の情けなさばかりが際立って、チリチリと心のどこかが嫌な具合に焦げた。
「あいにく、この身体は売約済みでな」
「知ってる」
「それでもいいって? ……ったく、ドエム野郎が」
「あきらめた相手の熱を揺り動かすほど、今のおまえは弱って見える」
「……っ」
思わず本気で睨みつけた。
「……チッ」
平然と受け止めやがって。
己の余裕のなさが恨めしい。
「オレが勝ったら、いつかの約束を果たしてもらう」
問うまでもない。
落とせたら、抱いてやる。
「……いいぜ。乗った」
挑まれて受けないのは、男の恥だ。
結果、士郎との仲がこじれたとしても、この勝負、自分の言葉が発端になっている以上、受けない訳にはいかなかった。
「勝てばいい。そう追い詰められた顔をするな」
傲然と笑う。
まるで大国の王のように。
この男も変わった。
陰を光に変えて進もうとしている。
生きているかさえ定かではない弟を探すという、ただ一点だけを見据えて突き進む姿は、鮮やかに見る者の胸に突き刺さる。
……ヤベェな。
油断していたら、持っていかれそうだ。
真っ直ぐに己のすべてを賭けて向かってくる相手に、どう向き合えばいい?
仲間を応援するために去っていく後ろ姿を見つめながら、今一度、己の心の奥深くをのぞき込んだ。
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