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しりとりの続き②
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(葵語り)
次に会う約束をするのはとても心が躍る。
この関係が続いていく気がするから。
相手の都合に振り回されて待つだけに慣れていたから、余計に新鮮と感じるのだろう。
熊谷先生が、俺と出かけたいと言ってくれて嬉しかった。
色んな話をして、熊谷先生のことを沢山知りたいなと思った。
何を話そうか、前日に家で考えながらにやけていたら、姉ちゃんに変な顔された。
最近の姉ちゃんは勘が鋭くて困る。
意味深な顔をして寄ってきた。
「葵、あんた明日デートでしょ?機嫌いいもんね。どんな彼女?女の子は大切にしないとすぐ逃げちゃうからね。」
ちっとも参考にもならないアドバイスを貰う。
「姉ちゃんには教えない。」
「やっぱ彼女か…。ま、いいけど。そのうち紹介してもらうから。」
恋人になれたら、紹介しようかな。
なれるかな。うーん。難しそうだな。
紹介したら姉ちゃんはきっとぶっ飛ぶな。あはは。
約束の日曜日は、雲一つない快晴だった。
俺は電車に乗って待ち合わせ場所に向かった。
もう既に熊谷先生の車が停まっていた。
会いたい人が自分を待っていてくれるなんて、幸せだなと思った。
俺は近付いて、窓ガラスをコンコンと叩いた。熊谷先生が気付いて窓を開けてくれる。
「おはよ。乗って。」
「おはようございます。おじゃまします。」
めちゃくちゃ緊張する。
夏休みの時は山本先輩がいたから、気が楽だった。
けど、今日はずっと二人っきりなので心は弾んでるけど手汗がすごい。
何を話していいのかよく分からなくなる。
「紅葉を見に行こうかと思ってるんだけど。どうかな?」
紅葉……見に行ったことないな。
行ってみたい、と素直に言いたかったけど、気が引けて言えなかった。
「あ、はい。大丈夫です。」
「実は、人目につきにくくて、なおかつ葵が喜びそうな所が思い浮かばなくて、
結局、テレビでやってたから紅葉にした。」
どこに行こうか考えてくれたんだ。
その気持ちだけで十分だった。
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