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Act1 3
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それから数週間、和哉の部屋に泊まった。
バイトと大学で忙しい生活の中、和哉は俺にいろいろなことを教えてくれた。
言葉とか、決まりとか、
…人を好きになることとか。
「シンってさ…」
「なに?」
夜、
布団をしいて横になってから、和哉が聞いてきた。
「好きなやつとか……いんの?」
「……え」
驚いて和哉の方を向くと、和哉は俺に背を向けて笑った。
「なーんてな!はは、驚いただろ」
「和哉、」
「ヘンなこと聞いてごめんな、…もう、寝よっか」
「和哉」
和哉が、こっちを見ない。
俺は和哉の肩に手を伸ばして、ぐいっと引いた。
「……っ…」
和哉の顔は、
真っ赤だった。
「和哉…」
「な、んだよ…こっち、そんな見んなっ…」
「どうした?顔、赤い」
「うるせ…」
和哉が顔をおおって、だって、と呟いた。
「だって、俺…なんか、変なんだよ、お前といると」
「…俺といると、変?」
「変っていうか…なんか……も、分かんねーよ…」
「俺といるの、嫌い?」
そう聞くと、和哉はがばっと体を起こして、ぶんぶん首を横に振った。
「それは無い!絶対無い!だって俺お前のこと好きだもん!!」
言ってから、和哉はあっ、と顔をおおって布団に突っ伏した。
「…すき?」
「……そーだよ」
和哉がぼそっと呟く。
「…好きなんだ、シン」
好き、がよく分からない。
俺がしばらく黙っていると、和哉が笑った。
「好き、ってのは…こういうこと」
きゅ、と俺の手を握って、和哉は目をつむった。
「一緒にいたいって思うだけじゃなくて、もっと…さ…触りたいとか、触ったらどんな反応すんのかなとか考えて、その事で頭がいっぱいになって……そーゆー感情のことを、“好き”って言うんだ」
「和哉は、俺が好き?」
「うん」
「…触りたい?」
そう聞くと、和哉は恥ずかしそうに布団を頭からかぶったまま、こくっとうなずいた。
「………」
ーー触りたいとか、
ーー触ったらどんな反応すんのかなとか考えて、
ーーそのことで、頭がいっぱいになって…
「和哉、」
俺はその時、
顔をあげた和哉を見て、
初めて、“好き”の意味を知った。
「俺も、好き」
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