アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
Act2 1
-
この3年間、和哉のことを忘れた日は無かった。
人間はあっさり死んでしまう生き物だと知っていたはずなのに
うかつに近づいた俺が馬鹿だったのかもしれない。
でも、誰かを失うことがこんなに虚しいものだとは思わなかった。
「…っ」
今も、思い出が、俺を動けなくする。
「なんで…死んじまったんだよ、和哉ぁ…っ」
ガン、とドアに頭をぶつけて、俺はずるずるとアパートの廊下にへたり込んだ。
動くのも億劫で、コンビニのレジ袋を手に持ったまま目を閉じた。
寒い。
これだけ寒ければ、いつか凍えて死ねるかもしれない。
凍えて…
「お兄さん何してるの?」
「え」
顔をあげると、子供がこっちを見ていた。
「そんなとこで寝たら風邪ひくよ?」
にこにこしながら、子供は俺の首にマフラーを巻いた。
「いや寝てる訳じゃ…ないけど」
「ふーん、俺今から雪合戦だから行くね。家入りなよ、お兄さん」
「ちょ、おい」
「じゃーね」
ばいばーい、と手を振って、子供は走って行ってしまった
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
15 / 17