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コーヒーを買ってもらって、まあ、機嫌は無理にでも良くしないと悪いから、出来るだけ平気な顔をした。
アレから5ヶ月だ。そろそろ俺も立ち直れ。
いい人探すんじゃなくて、
自分一人で、もっと楽に生きれって事。
だって、ゆう以外の人は無理だ。
ゆう以外愛せない。
半年前の自分を殴ってやりたいくらいだ。
あん時、アホな事さえ考えなかったら…
そう、毎晩のように後悔してる。
失ってから気付くなんて、これ以上にない苦しみだよ。
佐藤からも、何度か連絡がきたけど、
抱きたいとも、一緒にいたいとも、楽しいとも思わない。
あの時も、俺にはゆうが居たから、楽しかったんだと思う。
帰ってきたら、ゆうがいる。
話はしないけど、存在自体が俺を落ち着かせてくれる。
俺は、ゆうが隣にいるのが当たり前のように思ってた。
ーーー
「入江くーん」
「何でまた居るんだよ」
「えへ、ご飯食べに行こうよ」
「いやいや、おかしいだろ」
仕事が終わり、駐車場へ向かったら何故か中山が車ん前に立ってた。
こんな事、前にもあったような…
「いいじゃん、俺、入江と友達になりたいし」
「俺はなりたくねえよ」
「釣れないなぁ」
全然残念そうな顔してないのが、むかつく。
ゆうもよくこんな奴と友達になったな。
いかにも苦手なタイプなのに…
実は優しいからとか?
俺には嫌味ばっか言うのに…?
どうやって中山から逃げるか考えてたら、スマホが鳴った…
「ちょっと失礼…」
中山に背中を向け、スマホを取り出したら…
そこには弟からの電話だった。
珍しい…
こいつは俺に、くそ懐いてない。
むしろ俺は兄として嫌われてるに違いない。
なのに、俺に電話だと?
嫌な予感しかしない。
「もしもし」
『智也!今どこにいる!?』
「仕事から帰る途中だけど…どうした?」
弟はまだ高校生なんだが、俺を呼び捨てかよ。
でも、どうしてこんなに焦った声をしてんだ?
『車?』
「そうだけど」
『あの、俺が…帰ってきたら…っ…母さんが…っ』
お袋?
『母さんが……首…吊って……っ』
は?
『自殺…母さん……死んじゃっ……』
どうして…
『母さん……ぁぁっ…』
「透、いいか、落ち着け、今どこにいる?」
『母さんのっ…部屋っ』
「自分の部屋に戻れ。家からは出るな。友美は?」
『まだ…部活…』
「救急車を呼べ。俺も今すぐ帰るからな。友美には絶対にお袋の姿を見せるなよ?わかったか?」
『うんっ…』
「はぁっ……」
どうして、俺の大事な人は、次々と、居なくなるんだ?
ゆう、父親、今度はお袋まで?
体が震えて、動けない。
今すぐ実家に帰って、弟妹を落ち着かせてやんねえといけないのに…
早く、車…
「どうした?」
「あ……あぁ…」
動けない。
早く!早く、動かないと…
「入江?」
「大丈夫だ…」
ヘラヘラしてる中山にまで心配掛けてしまう…
でも、どうしようもない。
今すぐ泣き叫びたい。
誰にでもいいから、助けてもらいたい。
絶対に嫌なのに、求めてしまう。
助けを、求めてしまう…
「中山…っ」
「うん…落ち着いて?」
「お袋がっ…… 自殺した…」
助けを求めるような目で中山を見ると、
意味が通じたのだろうか、
車の鍵を出せと言われ、彼はそのまま俺の車の運転席に乗った。
俺は、助手席に乗り、中山にナビに実家を登録しろと指示された。
「入江は寝てていいよ…着いたら、やる事いっぱいあるんでしょ」
「うん……中山……」
「なに?」
「すまないな…」
「いいよ、俺、入江ん事気に入ってるから」
この瞬間、俺の中の中山の存在が、
嫌な奴から良い奴へ変わった。
俺が眠りに落ちた時に、中山が俺を嘲笑ってた事も知る事なく、俺は彼を信頼した。
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