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番外編 魔王誕生 秘話 お気に入り数345記念‼
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我は水鏡でジルとその家族の様子を見ていた。あれらをみていると若い頃の我とジュリウスの出会いを思い出した。
回想
我は昔、一度だけ城から逃げ出した。
前魔王にお前は弱いやらなんやらいろいろ言われ、嫌気がさし、人間界へ行ったんだ。
そこにはたくさんの人間がいて、私に声をかけてくれた。
「大丈夫かい、美人さん?」
「お前はだれだ?」
「俺はルド。ここらへんじゃ見ない美人だったからね。思わず声をかけてしまったよ。」
そう言って、ルドと言う男は我の頬に手を伸ばした。それは酷く気持ちの悪い動作で、思わず、吐き気がしたものだ。
男の手が我の首へと降りて行ったところで、我の首は赤く染まった。それはもちろん我の血ではなく、男の血だった。
「汚い手で、この人に触れるな。」
そう言って、真っ赤ま髪をした短髪の男がルドとかいう男の手に剣を突き刺していた。
「大丈夫ですか?」
「ああ、だが・・・あの男はいいのか?同胞だろう?」
赤髪の男は我に手を差し伸べ、我に微笑んだ。
「ああ、あの男は気にしなくていい。あんた、ここにくるの初めてだろう?・・・よければ私と回らないか?私の名前はジュリウス・アッシュ。ジュリウスと呼んでくれ。あんたの名前は?」
「アルロード・サ・・・アルロード・クリアだ。」
ジュリウスははにかみながら我に向かって『じゃあ、アルだな。』と言って、引っ張った。
ジュリウスはいろいろなところへ案内してくれた。
初めて食べたアイスはすごくおいしくて、いまでも覚えている。
夜になると、店に連れてかれ、そこでジュリウスと向かいあってごはんを食べた。とてもとてもおいしく感じて、胸が満たされていた。
「なあ、アル。一目ぼれって信じるか?」
「ひとめぼれとはなんだ?」
我がそういうととジュリウスがきょとんとした顔をしていた。我はその様子を少しかわいいと思ってしまった。
「一目ぼれは一目見て、その人のことを好きになってしまうことだよ。」
「見てくれが好ましかった、ということか?」
「いや、そうだけれでも・・・でも・・・あーーー‼もうっ。」
いきなり、ジュリウスは悶え、立ち上がり、注目を集めていた。
「好きだ。アルロード。私はアルに一目ぼれしたんだ。この人と添い遂げたいと心から思った。
だから、どうか想いに応えてくれないか?」
今まで、ジュリウスに注がれていた注目は我へと集まり、シーンと静マリかえっていた。
これは求婚されているということか?我は胸が熱くなり、ジュリウスの手を取って、頬にあてた。
「ジュリウスにはこうされても気持ち悪くないのだ。むしろ心地がいい・・・‼」
我はそこで初めて、ジュリウスに恋をしていたということに気づいた。
「アル・・・。愛してる。」
「我もだ。ジュリウス・・・」
周りからはヒューヒューと冷やかされたが気にもならなかった。
お互いの唇があと少しで重なりそうになったときに『ドオンッ』とドアが蹴破られた。
「アルロード・サタン・クリア、お前を捕縛する。者ども、とらえよっ‼」
騎士の恰好をした男達に我はとらえられた。
「ジュリウス・・・‼」
我がジュリウスを見ると、ジュリウスは二ヤリと不気味に笑っていた。
「天下の魔王ともあろう御方がこんな三文芝居に騙されるなんてな。」
嘘だと思った。ジュリウスが我をだますはずがない・・・だって、我のことを・・・
「たった一日過ごしただけで恋に落ちるなんてあるわけないだろう?」
「・・・そうか、そうだな。我は舞い上がってたみたいだ。そんなのあるわけない。でも・・・我はお前を愛してた。・・・さよなら。」
我はそう言って、その場を逃げ出した。
そのあと、命からがら魔界へと帰った。
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