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よん。
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「現代(いま)でも、"兎"を使った名前なんてないぜ?
もしかしてこの家にとって、"兎"は大切な文字だったりしてな。」
兎代は笑いながら、冗談混じりで言葉を放つ。
そんな兎代の姿を見ながら、
龍彦は真面目な顔でこう言った。
「……もしそうだと言ったら、どうする。」
「え。」
「その一文字で、この家が支えられていると言ったら……。お前は信じてくれるのか?」
ーーー静まり返る空間
「……なに、言ってんの…父さん。」
笑うのを止め、戸惑う兎代を他所に
龍彦は後ろにいる伊月と目を合わせる。
僅かに頷く彼を見た後、龍彦は一度席を立って机の方へと移動した。
何重にもかけられた鍵を外し、引き出しから"何か"を取り出す。
そして、"ソレ"を兎代の前に差し出した。
「何だこれ?」
彼の前に置かれたのは、2つの"モノ"
1つは青銅でできた円盤の欠片。
そしてもう1つは固く閉ざされた一枚の紙だった。
「"コレ"は僕たち安土家が代々受け継ぎ、守り続けてきたものだ。」
兎代はその2つのうち、青銅の方を手に取った。
表面を見るとそこには複雑な模様が彫られており、その中に兎の絵柄と"卯"という文字が刻まれている。
「兎と……"卯"?」
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