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自分の家のようにソファでくつろぐ渚に、無意識に飲み物を出してしまう自分が悔しい。
渚が好きなのは氷をたくさん入れたコーラ。
その氷が解けてから薄くなったのを飲むのが好き、とか変わり者すぎだろって思う。
「俺、まさと同じ大学受かったけん」
「あ、マジで?おめでと。」
「それ叔父さんに報告したら、ここに住んで通いんさいって言われたんじゃけど。」
渚の口から出たのは、驚愕の事実。
父さん、母さん。
俺はそんな事、一言も聞いてないんだけど。
俺の顔を見てた渚が、ふっと笑う。
ものすごく、意地悪そうに。
「なに?お前、また叔父さん達からハブられとん?」
はい、渚からのイジメきましたー。
俺の両親は、ちょっと仲が良すぎるだけで。
ちょっと一人息子である俺の存在を忘れがちなだけで。
去年父さんが大阪に転勤になった時、住んでる家は持ち家だし、俺は大学があるし。
当然単身赴任するんだろうと思ってたら、母さんは迷うことなく父さんに付いて大阪に行った。
まあ一人暮らしもしてみたかったし、それはいいんだけど。
「明日、俺の荷物届くけぇ。」
そう言った渚が、やっとコーラに口を付ける。
氷に薄められた黒い液体が渚の口に入って、喉を通っていく。
ああ、綺麗だな。
いまだにそんな事を思ってしまう俺は、どうかしてると思う。
「よろしく、まさ兄ちゃん」
悪魔のような笑顔で俺の手を取った渚が、空になったコップを押し付けた。
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