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事情
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「━━━って感じ」
「端折り過ぎて非常に簡潔な説明だった。
NO THANK YOU」
委員長は呆れ顔でそう言った。
だってさ、わざわざ僕に聞かなくったってよくない?
「それにしても…………
篠宮、お前、一ノ瀬と何話したんだよ。
アイツ滅茶苦茶不機嫌になってるぞ」
「知らないよ。
僕の方が聞きたいくらい」
信頼がほしいって言ったらなんか不機嫌になっちゃんだんだよね。
で、そのまま帰っていった。
なんでかな。
まぁ、考えてもしょうがないけどさ。
でもほら、気になるじゃん?
…………ほんと、なんで怒ったんだろ。
「もういい。 帰れ」
「あ、いいんだ?w
じゃあまた明日ね」
バイバイ、と手を振って指導室から出る。
なんだかんだ、今日は散々だったなぁ。
フラフラと廊下を歩く。
静かな長い廊下に僕の足音だけが響いている。
なんかさみしいなぁ。
歌おうかな。
「♪100回くらい忘れようとしたけどもうダメだよ 気づけばいつもお前のことばっかり思い出してた……♪」
僕は君を忘れようとしたことはないよ。
君が教えてくれた、信頼も、友情も。
綺麗事って言う人も居るかもしれないけど、僕は、人として大切なものを君に教えてもらったから。
君が残した言葉も。
「コウ……忘れないよ」
勿忘草の花言葉。
forget-me-not
君のこと、絶対に忘れない。
約束したから。
僕は早足で帰路についた。
空はもう星が見えていた。
…………冬は陽が沈むのが早いなぁ……
少し止まって空を見上げる。
流れ星が視界の端で消えていった気がした。
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