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迷子の鈴音とうーくん 04
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駅で羽衣くんと別れ、椿の家に帰ると少し不安げな表情の颯斗さんに呼び止められた。
「鈴音、いい子にしとった?」
「勝手にどっかに行っとったよ。すぐ見つかったけんけんよかったけど」
「そっか。迷惑かけたね」
「気にせんちゃよかよ!鈴音のおかげで知り合いが増えたけんね!」
鈴音が迷子になったのは困ったけど、羽衣くんと出会えたのはよかった。
本当に気にしなんな(気にしないで)、と伝えると隼人さんはホッとしていた。
まあ、鈴音は一人でどこかに行ったことを後で二人に注意されるだろうな。
「ありがとね。ごめん、呼び止めて。帰る準備してきない」
「分かった!」
部屋に戻ると光さんが着々と準備を進めていた。
俺に気づいて「おかえり」と笑顔を向けてくれる。
「ただいま」
「颯斗さんは何て?」
「鈴音がいい子だったか聞かれた。やけん、勝手にどっかに行ったよーって言った」
「ん。そっか」
光さんはそれだけ言うとまた続きをし始めた。
準備といっても二人の一泊分の荷物だけだったから、俺は布団を畳んだり軽く掃いたりしていた。
30分くらいして準備と掃除を終え、椿たちのところへ行こうと荷物を持ってドアノブに手をかけようすると、ギュッと抱き締められる。
「ねえ、いろ」
「うん?」
「帰ったら甘えていい…かな?」
その声は凄く弱々しいし、こんなこと普段言われないから心配になる。
だけど“帰ったら”と言ってるから、帰ってから聞こうかな。
それまでは耐えてもらおう。
「当たり前だよ!」
「ふふ。ありがとう」
ドアノブにかけていた手を、後ろに振り返ってそのにある光さんの頬にやって俺の方に近づけてキスをした。
“もう少しだけ頑張ってね”
そういう意味を込めて。
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