アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
温泉旅行 一日目 09 side 光
-
目元の冷たさで目が覚めた。
どうやら、色葉くんが濡れタオルをかけていてくれたらしい。
そのタオルを取り、起き上がりスマホで時間を確認しようと手をスマホに伸ばすと、傷つけた指に絆創膏が貼ってあることと、リボンが付けられていることに気づく。
「リボン…?」
そこには何か文字が書いてある。
リボンを外し、読んでみる。
”Look on the table:)”
「テーブルの上を見て…?」
濡れたタオルをどこかに置きたかったから、まず洗面所にタオルを置いて、テーブルに向かった。
そこには小さな箱と封筒が置いてあった。
まず、気になった箱を開けてみると、そこには二つの指輪が入っていた。
「ゆ、ゆびわ…?」
驚きながらも、次に封筒を開けてみる。
『光さんへ
一年間ありがとう。
これからもよろしくお願いします。
その箱は指輪です。
俺とのペアリング。
安物ですが着けてもらえると嬉しいです。
行く行くは左の薬指に
もっといいものを着けさせてね。
手紙を書くのは不慣れだから
もう終わります。
最後に一言。
光さん愛しています。
色葉より』
手紙にポツポツと涙が落ちていく。
昨日も泣いたのに、今も涙が出てくる。
僕も色葉くんも男で、結婚は出来ないし、子供も出来ない。
人に言えるような恋愛ではないから、ペアリングなんて目に見える証になるものを買っても、着けられないと諦めていた。
それでどんどん病んできて、薬指が汚くなっていった。
そんな僕に気付いたのだろう。
あの子は普段は鈍感なのに、変なところで鋭くなるから。
こんなダメな僕の病む理由に気付いても見捨てないで、しかもセックスもさせてあげられない僕を救い出そうとしてくれる優しい彼。
僕には勿体無い恋人だ。
だから、少し頑張って昨日の「光さんだからシたい」という言葉を信じて怖がらずにいこう。
そう決心した。
涙を拭いて、寝ている色葉くんの所に指輪の入っている箱を持っていく。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
35 / 197