アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
計画 sideR
-
夫が帰りついたんは、たぶん深夜2時頃。
かなり酔ってたんか、そのまま寝室に直行したらしい。
翌日、昼近くになって起きてきた夫が、ムッツリした顔でメモを1枚、突き付けて来た。
『3月から単身赴任。1年後に離婚。』
「た、単身赴任っ!?」
青天の霹靂だった。
―もう希望を出した?
「デカい声出すなや。まだ悠真、寝てるんやろ?」
「うん。って、なんで単身赴任なん?」
「昨日、部長から転勤の打診がきた。たぶん、岡山か、鳥取やと思う。」
「なぁ。それ、断られへんの?」
浮気相手には、何て説明したんかな?
まさか、とっくに別れたとか?
「断るんは、まず、ムリやろうな。」
「ほな、なんで、単身赴任?」
「期間はたぶん、長くて1年半。職場も家も、市内から離れた山ん中や。学校からも、病院からもかなり遠い。それに、悠真は4月から小学生やろ?ついでに言うたら、お義父さんは入院中。つまり、莉緒は大阪に居った方が、都合がええことが多い。」
「それはまぁ、そうやけど…。1年後に離婚って?」
「まさか、浮気されたとか、オレがゲイですとか、そんな理由で別れるって、どっちの親にも言われへんしな。それに、他人に知れたら、悠真が学校でどんな目に遭うや分からん。せやったら、オレが単身赴任なって、だんだん生活がすれ違って、とうとう我慢の限界になった。ってことにしたらええ。」
「何なん?その勝手な長期計画は。そないに私と別れたいん?悠真は、可愛ないの!?」
「そうやない。でもな莉緒…「そんで、それは、相手さんの都合も込みの話やったりするん?」
私らには単身赴任いうといて、実はコッソリ同棲を始めるつもりやったら、許さへん!
「いいや。むこうには、何の都合も訊いてへん。全部オレが、1人で決めた事や。」
「なぁ。たっくんは、なんで、むこうには何も言わへんの?」
「うるさいな!男女と男同士はまた違うんや!!」
これにはカチンときた。
「ふんっ!!偉そうに。あんたなんか、サッサとフラれてしもたら、ええねん!」
「たとえフラれても。オレはこの通りに、やるからな。それだけは、覚えとけ。」
そういった夫の目の下には、くっきりクマが出来ていた。
―もしかして。昨日、寝んとこんなこと、考えとったんやろうか?
ゲイの為の円満離婚?
とんだお笑い草や。
―小心者の意地っ張り。
淋しがりなヘタレのクセに、ホンマ素直やないんやから。
―あの分やと、相手に面と向かって好きって言えてへんのと違うやろか。
相手は…ゲイバーのホステス?
会社の同僚?
まさか、妻子持ちの知り合いとか!?
たぶん妻子持ちは、無いと思うわ。(変に正義感強いとこあるしな…)
勝手に1人で本気になって、それで、ゲイとして生きていくつもりにでもなったんやろか。
―アホやなぁ。
ホンマもんのアホや。
あんなんに想われてる人も、災難やろうなぁ…。
―1年後。まだ目が醒めてへんかったら、離婚になるんか。
やれやれ…。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
38 / 229