アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
計画2 sideR
-
「なぁ。昨日、どこで呑んどったん?」
夕飯を食べながら、一応、訊いてみた。
「○○橋の駅前や。スペイン料理の店、やったと思う。」
―やっぱり、あそこで降りたんやわ。
「もしかして。ソル・イ・ソンブラってお店?」
「あぁ、そうや。何かそんなような名前やった。って、なんで知ってんねん?」
「玄関にチラシが落ちてあったし。それと、コレも。」
「へっ!?」
紀伊國屋のビニール袋に入ったハードカバーが1冊。
「下駄箱の上に置きっぱやったで。」
「あ、…ああ。そやったか。」
夫が一瞬、パッと無表情になった。
―コレは絶対、何かある。
ピンときた。
「その本、なんてタイトル?」
「何やったかなぁ。忘れたわ。」
―嘘やな。
メチャメチャ本好きなこの人が、タイトル忘れるとか絶対有り得へん。
「へえぇ…サインの入った初版本やのに?」
サッと青ざめた顔が、コッチを睨んだ。
―ビンゴや。
当たったのに、ちっとも嬉しくない。むしろ、感じるのは、冷たい怒りだけだ。
「あの本屋へよう行くのは、そういう意味やってんね?」
「は…?」
「ここまできて、まだとぼけるつもりなん?この本くれたん、藤井って人なんやろ!?」
「だから、それがど……えっ!?おい、ちょい待て!」
「やっぱり!」
「いやいや。そもそも藤井って、誰やねん?」
「札幌で会った人の名前が、たしか藤井やったやん!!」
「ああ、そうや。」
「あんたのよく行くその本屋にも、藤井って人がおるんよ。」
「…へ、へえー。」
「つまり、札幌の藤井と本屋の藤井は同一人物。あんたの浮気相手は、紀伊國屋書店におる藤井祥二や!」
「なんでやねん。」
すかさずツッコミが入った。
「だったら、この本は、どういうことなん?昨日買う暇無かったやろ?それにこないなサインまで。こんなん、本屋さんが関わってな、出来へんことやろ?」
「いや、コレは、サークルのやつがやな…」
「下手な言い訳は、もうええわ。」
―決めた!
「藤井か、藤田か知らんけど、いっぺんその人と話しさせて。そしたら、離婚考えたってもええわ。それが出来へんねやったら、私は別れるつもりは無いで。」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
39 / 229