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mission Ⅰ
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とにかく、呼吸だけでも整えようと、和泉は深く息を吸った。
「なに、させる、気や?」
「まずは自分のスマホを、取ってこい。」
「えっ!?」
―スマホ?
「そんな、なんで!?」
たった一言で和泉の頭は、盛大にパニクった。
それでも。早くしろ、と無言で促されれば、従うしかない。
スマホと交換に差し出されたシャツへ腕を通そうとした瞬間
[カシッ]
背中でシャッター音がした。
「ぃ、いま、撮った?」
「ああ。無防備な背中を1枚。」
[カシッ]
「次は、不安そうな顔を1枚。」
「もう、やめろや!」
[カシッ]
「怒った顔も1枚。」
言いながらも、静は和泉の襟を直し、ボタンを2つとめた。
「彼シャツのセクシーショットも1枚。」
上から胸元を覗くような角度で撮ったらしかった。
「…ど助兵衛か。」
目を伏せて呟いた顔は、耳まで真っ赤だ。
「ここへ座れ。」
ソファーへ腰掛けた静の隣がポンと叩かれた。
「なんやねんな、もう。」
傍に立つと、いきなり唇を奪われた。
「っ!」
[カシッ]
「ツーショットを1枚。」」
静は愉しげに、素早く指先を動かした。
「送信完了。」
「うえっ!?」
―まさか!
「今の写メ、莉緒に送ったんか!?」
「そうだ。これでもう、後戻り出来なくなったな。」
何かを吹っ切ったような、晴れやかな笑顔が、囁いた。
「おまえなぁ…。」
呆れればいいのか
怒ればいいのか
そのどちらも選べずに、困り果てた和泉は、徐に静へカメラを向け、ボタンを押した。
「…オレの、共犯の顔を1枚。」
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