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妙
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深夜。
どの靴を持って行くべきか、決めかねとったオレの後ろに、眠そうな嫁が立って言った。
「ねえ。まだ寝えへんの?」
「あぁ。あともうちょっとだけ、詰めなアカンもんがあるんや。」
「ふぅん。ほな、ココちょっと開けるで?」
「えっ!あ、待てや!!」
焦って振り返ったオレの制止も虚しく、寝室のドアが全開になった。
「やっぱりな。」
部屋中に散らばった物を見て、莉緒が呆れたように呟いた。
実はオレ、こういうんが、メッチャ苦手やねん。
旅行でも、ハイキングでも、別に要らんやろ?って物が入ってて、絶対要る!いう物が入ってない。
出張用のカバンは、静がくれた着替えのセットを真似して詰めて、何とかなった。
そやけど。
後の荷造りは、ホンマ何から入れたらええんやら、サッパリ解らへん。
「当座の着替えは、あるの?」
「あ、あぁ。それはもうこっちのカバンに詰めてある。他にすぐに要る言うたら、スーツぐらいのもんやろな。大抵の家具は据付けてあるらしいし。」
「ほな、もう寝たら?」
「えっ?」
「そしたら、コレ、自分で今日中にパッキング出来るん?」
「…いや、それは、どうやろ、かなぁ。」
オレがごまかすようにヘラっと笑ったら
ハアアァ。
でっかい溜め息をつかれた。
「あんなぁ。ハッキリ言うて、こんな時間にアンタに何時間もガサゴソされたら、気になって私が寝られへんのよ。」
「でもな、これはオレの荷物やし。明日はもう向こうへ行かんとアカンねやで?」
「そやから、荷物は明日、私が詰めて、また後日送ります。あんたはそのカバンだけ持って出たらええわ。…ってことで、送り先の住所、書いて。」
メモ帳を突き付けられた。
「いや、それは…。」
「あんなぁ、一応まだ家族やねんから、住所と連絡先くらい、知っとくべきやろ?お義母さんに訊かれて、私が答えられんかったら、不自然やないの。それに、小学校の書類にかて、父親の電話番号とか、勤め先を書く欄があるんよ。」
「へぇ。そうなんか。」
「その代わりと言ったらナンやけど。」
ズイッと寄ってきた体を避けようと、オレは思わず後ろへ下がった。
「たっくんのカレシって、どんなんなん?」
―は?
「…カレシ?」
「この写メ、私に送ってきた人のことや。」
「うわっ!?」
目の前に突き付けられたスマホに写っとったんは、マヌケ面のオレのどアップやった。
―コレって、あの時の…?
「まさか、写メの1枚もないとか、言わへんやんなぁ?」
―そう言えば
あの後、初めて1枚だけ静の顔を撮ったよな。
撮ったけどな、…アレはアカン。
何と言っても、上半身裸やし。
それに、あの顔…。
アレだけは、誰にも見せたらアカン!
特に、莉緒には絶対ムリ。
「つ、付き合いたての10代のカップルやあるまいし。そんなん、あるわけないやろ!?」
シラを切るつもりが。
盛大にどもって、目が泳いだ。
「へぇ。…ほな、ホンマかどうか、確かめてみよか。」
「えっ!?おまえ、いつの間に!!」
莉緒の手の中には、オレのスマホが握られてあった。
「どれどれ。……もしかして、一番最初のコレ?」
「う、…うん。イケメン、やろ?」
なんでか、冷や汗が出た。
「いつやったか、顔面生殖器って言われた俳優がおったけど、あれ以上やな。」
言いたいことは、よう判る。
解るけどな、莉緒。
―いくら何でも、それは言い過ぎやろ?
「オヤスミ。早よ寝てや。」
「…うん。」
画面の中の静にも、心の中でオヤスミを言って、オレは布団にもぐり込んだ。
―――――――――――――――――――――――――※コチラの話には、例の俳優さんは、関係ありません。
今回の莉緒さんコメントは、顔立ち云々というより、全体の雰囲気の話です。二人きりの空間で、和泉くんに向けられた静さんの表情…色々ダダモレだったみたい、です。(/▽\)♪
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