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次の日。
立花から電話があった。
「おまえな。なんでワザワザ電話やねん。1階下に来て、顔見て話せばええやろが?」
「あ~。なるほどな、まだ聞いてなかったんや?和泉は相変わらず疎いというか、情報が遅いねんな。」
「…は?」
―情報?
「実は私、今ウィーンに居るねん。」
「へっ?」
―ウィーン?
「会社、先月で辞めたんよ。それで、そのトバッチリが和泉にいったって聞いてんけど…。」
他にも説はあるらしいのに、今度のオレの転勤は、自分が抜けた穴を埋める為の緊急措置やという話が、立花の耳に入ったらしい。
―そんなしょうもないことするんは
…どうせ須永やろな。
オレは、ヤレヤレと首を振った。
「オレは、トバッチリやなんて思ってないで。むしろ、立花サマサマや。」
「ホンマに、そない思てんの?」
「ああ、マジや。そんなことより、そっちはどないや?おまえのことやから、手当たり次第に買いつけて、次々こっちの会社へ売り込んでんねやろ?」
「ううん。今は買う側やのうて、作る側やねん。」
「へえ。何を作ってるんや?」
「昔ながらのお菓子よ。毎日死ぬほど見てるけど、修業がキツすぎて、1日1個味見するのがやっとって感じ。」
どうやら、立花は職人の修業をしに、本場へ留学したらしかった。
「ふぅん。…頑張れよ。」
「そっちこそ。コンビニとのコラボ商品、共同開発すんねやろ?あそこは、なかなか厳しいから、覚悟しときや。」
「いやいや、人数合わせのオレは後方支援で、ボチボチやるわ。」
「アホやな。アタシの代わりやねんから、最初の会議から、バッチリ矢面立たされるに決まっとるやん?」
「うわっ!いきなり畑違いのオレにリーダーやれってか!?誰かに台本書いて貰わな、それ絶対マズイやろー?」
「大丈夫。地元チームは優秀なんが揃ってるって聞いてるから。台本も資料もバッチリ揃うはずよ。」
「…なぁ、会社辞めてウィーンに居るヤツのが、これから行くオレよりも岡山のこと知ってるって、どないなっとんのや?」
「あらっ!?和泉は、お家が大変やったんやから、仕方ないわよ。」
「は!?」
―家が大変?
「子供さん入院して、今度はお義父さんやったんやろ?」
「あぁ、…まあな。」
―確かにそんなこともあったけどな。
「そら、奥さんも寝込むわ。…離れても、大事にしたげてな?」
―はっ?
はわわわ…。
「も、もちろんや!ほな、またな。」
―莉緒が寝込んだやなんて、一体イツのことや?
ホンマどないなってんねん!?
頭を抱えたオレの前に、須永がやって来た。
「和泉。ちょっと今、ええか?」
「あぁ、かまへんけど。なんや?」
「ええから、ちょっと、こっち。」
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