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ーアウトロー
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次の日、携帯に起こされた
「んっ・・・朱雀」
「いいよ、そのままで」
少し眩しく感じた陽射しに目を細め、携帯に出た
「えっ?今日って・・・」
おいおい・・・仕事が早いな
まだ気だるい体のまま時計を見つめ楓に言った
「出かけよう」
「えっ?」
「実はもう一つプレゼントがある・・・気に入るか気に入らないかは楓次第だ」
「どう言う事?」
「ギターは好きだろ?」
「うん」
「仕事が出来ない事は無いんじゃないのか?」
「俺はギターしか出来ないし、でも仕事を探せと言うのならすぐに探すよ」
「そうじゃない、とりあえずシャワーを浴びて来なさい」
「うん」
「すまないな、突然で」
「ううん」
可哀相だが仕方が無い
だかクリスマスにしなくてもいいんじゃないのか?
和海の嫌がらせなのか?
シャワーを浴びて着替えた楓を連れてスタジオにやって来た
「このスタジオはプロしか使えないよ?」
「そうらしいね」
「・・・・・・・・・・・・」
そして和海がやって来た
「お待ちしていました、初めまして楓さん」
「・・・・・・・こんにちは」
やはり楓が見たかったのか
こいつのやりそうな事だが仕方が無い
「あの」
「本当に素敵な方ですね・・・朱雀より先に知り合いたかった」
「それ以上言うのなら」
「わかっていますよ、ではこちらへ」
「朱雀・・・」
「大丈夫、おいで」
「うん」
案内されたスタジオには数十人集まっていた
ここからは専門外だ
「楓さん、この中から本当のメンバーになれそうな人を見つけられそうですか?」
「えっ?」
「私が選んだ人達なので技術は確かなはずです」
「どう言う事?」
「ご説明しましょうね」
「うん」
「貴方はここでバンドメンバーを見つけ、デビューするのです」
「えっ?」
「無理にとは言いません、選ぶのは貴方です」
「俺・・・」
「嫌かな?」
「ううん、嫌じゃない・・・わかった、必ず見つけるから」
「では私はロビーで待っているよ」
「うん」
「では楓さん、行きましょう」
「わかった」
楓が消えた後、少し不安が残った
もし気に入るメンバーが見つからなかったら?
それなら見つかるまで捜せばいい
楓にしか出来ない仕事なのだから
う~ん・・・仕事か
仕事はさせたくないが好きな事はやらせてあげたい
複雑だ
そして数時間後、楓が和海と笑顔で戻って来た
「どうだった?」
「うん、ありがとう朱雀」
どうやらメンバーが見つかったらしい
「そうか、よかった」
「すぐに見つける事が出来たよ・・・俺の求めてる音がそこにあったから」
「私も彼達を選ぶと思っていました、さすがですね」
専門外だからわからないがプレゼントは気に入ってくれたらしい
「では、来年のデビューに向けて頑張って下さいね」
「でもそんなに簡単に」
「貴方のギターを聴けばわかりますよ・・・貴方は天才ですので」
「えっ」
「では、このスタジオは自由に使えるようにしておきます」
「ありがとう・・・和海さん」
「貴方の恋人は数少ない大切な友人です・・・これからは貴方も大切な友人の一人になりそうですね」
「うん、ありがとう」
きっと楓の夢は来年叶うはずだ
でも意外な落とし穴が待っていた
「楓、今夜・・・」
「ごめん、練習なんだ」
「えっ」
「みんないい奴でね、すごく楽しいし曲も作らないとね」
「・・・・・・そうか」
「じゃ!」
「はぁ・・・・・・・・・・・」
楓はとても元気だ
私はとても寂しい
でも仕方が無い
楓の為だからね
そして・・・・・
楓のバンドが有名になるには時間はかからなかった
もともと天才なんだ、わかっていたはずなのに私はもっと寂しくなった
「楓・・・明日」
「言ってなかった?明日からツアーなんだ」
「・・・・・・・・ツアー?」
「うん、じゃおやすみ」
「おやすみ」
ツアー・・・
と言う事は家にいないと言う事か
だったらせめて・・・
「朱雀」
「どうした?」
「・・・・・・・愛してる」
「私も愛してるよ」
「うん、おやすみ」
私の気持ちに気付いたのか嬉しい言葉を言ってくれた
楓は少し照れながら寝室に向かった
それだけで十分だ
はぁ・・・・
でも恋人が雑誌やTVに出ているのは素直に嬉しい
きっとこれからも楓は羽ばたいて上を目指すんだろう
野良猫ではないが・・・やはり家では大人しく出来ない猫だったらしい
ベッドに入り微笑んだ
俺が部屋でいつも弾いていたのは朱雀へのラブソング
朱雀の事を思いながら優しい曲ばかり弾いていた
せめて音で気持ちを伝えたかった
歌は歌えないけどね
でも彼には伝わっていたんだね
神様、本当にありがとう
これが俺と朱雀のお話
まぁ・・・ハッピーエンドってやつだね
ー完結ー
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