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『別に良いよ。望月さんが俺を〝そういう目〟で見れなくても』
「……、」
『でもさ』
シンさんが、また傍に寄る。
俯いた視界からは、シンさんのブラウンの靴だけが確認できた。
『きづいてた?望月さんが途中から自分のこと〝俺〟って呼んでたこと。
それ、仕事忘れるくらいに俺に心許し始めてるってことだよな』
「違、」
それは咄嗟に。あんなことされたら誰でも――
『って。勝手に自惚れておくけど。』
少し自嘲気味に笑って、寂しそうな表情を見せる。
「…、」
『取り敢えず。俺は身を引くつもりはないから。それに今日〝確信した〟』
地面を見つめている俺の顔を覗き込むように、耳元で囁く。
『もう簡単には逃さねえから覚悟してよ、望月さん』
ビク。
耳元で溶けてしまいそうなほど蠱惑的に鼓膜をくすぶれば、〝ふ〟と息を漏らし、カッカッと靴の音を鳴らして店内に戻っていった。
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