アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
風
-
隣を歩けば、絶対に前を歩いている。僕はいつも後ろだった。辛い時や悲しい時は察していたのか、同じ場所を並んで歩いた。
僕はずっとこの時間が続けばいいと思った。
でも口には出せないから胸にしまっておくけれど。
小学生の時から僕は君が好きだった。
背が高くて、手が大きい。
中学生になったら、声変わりも始まって一層大人っぽくなった。
後ろをついて行く同級生も今までより増えた。
好きな君がだんだんと早歩きをしている。
それは僕と距離を離すためなのだろうか。
どんどん前を進んで行くから、僕から拒絶してしまった。
だって僕がいたら場の雰囲気が悪くなる。
まわりから突き刺さるような視線を受ける。
君もなんとなく面倒くさそうに愛想笑いをした。
君と僕の距離はもう走っても並ぶことは出来ない。
だから、笑い合うことも些細なことで喧嘩する事もない。
僕は安心したよ。
これが普通の景色だったから。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
10 / 24