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体育祭日和です
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この学校はすごい。
専属のプロがいる『マッサージコーナー』や
最新鋭の機械がズラリと並んでいる『ジム』。
各地の上質なお菓子を取り寄せた『カフェ』に、
数万はいくコースメニューを扱う超高級フランス料理店『グランドメゾン』など・・・。
『ここ本当に学校だよね?高校だよね?』
と思ってしまう豪華な設備が至る所にある。
(一応僕の様な一般庶民もいるので庶民向けの購買や食堂もある)
「え、優勝したクラスには特典がもらえる?」
『そっか、姫は高校から入ってきたから知らないのか』
「『姫』って言わないでくれる?」
で、そんなお金持ちが集まる学校は設備もすごければ体育祭もすごかった。
優勝した色の組全員に高級カフェで販売される焼き菓子セットをプレゼント。
全学年リレーで優勝したクラスには毎日5分で即売り切れになる幻のオリジナルスイーツ 『ショコラ・ロイヤル』が確実に食べられる券。
他にはスペシャルマッサージのサービス。
その人の為だけに作る限定フルコース等。
一般庶民には考えられない『ご褒美』がもらえる。
大体の(お金持ちの)人は
『それぐらいいつでも買えるしできるから』
と他人事だけど、やっぱり僕みたいな人の目にはやる気の炎が燃える。
「でもこの全員で参加するマラソンの『豪華特典』って何なの?これだけ詳細が何も書かれてないけど」
噂では毎年 文字通り全生徒が血眼になって1位を争うマラソンの所だけアバウトな表記になってる。
『それは全生徒にアンケートで聞いて決めるらしいぜ?ほら、お前らが配った競技決めの用紙の一番下のとこにあったじゃん。『今一番欲しいものは?ってやつ』。それがもらえるんじゃね?』
「そういえばそんなのあった気が・・・」
僕はそこまで遠くない記憶を呼び起こす。
無料でもらえるなら、絶対1位とか無理だけど
もっと何か書けばよかった。
そろそろ2年経つから『携帯』って書いたんだけど。
(携帯も物によっては結構高いけど)
「昨年は何だったかわかる?」
『・・・・・・・・・・・・』
「・・・え、何で急に黙り込むの?」
もしかして庶民には思いつかない様なものなの?
『・・・三城は知らない方が幸せだと思う』
「急にどうした!?」
なぜ目を合わせない!
『ま、まあ姫が1位になればいいんだし。
無理だと思うけど』
「自覚はあるけど失礼な事言わないでくれる!?」
あの綾人さんや渡島先輩に勝つとか無理ゲーでしょ!
『三城さんは何があっても純粋無垢でいてくれ・・・。ずっと温室育ちの世間知らずなままでいてくれ・・・。』
「一体どんなマラソンなの!?もう不安しかないんだけど!?」
世間知らずってそのまま成長したら恥の塊だよね!?
役立つなら恥でも逃走でもするけど!
『大丈夫です、姫様!何があっても俺達は姫様が本命ですから!』
「温室育ちなのはそっちな気がするんだけど!?
君達はもっと外に目を向けるべきだよ!?」
なぜ星の数程いる女性をフル無視してこちらに来る!?
僕はマラソンよりクラスメイト達に強く不安を感じ始める。
そんな中、開会式や宣誓がスムーズに終わり
外部の人達の挨拶が始まる。
『えー、本日は絶好の体育祭日和で私達も大変嬉しく思っております。』
・・・ん?
『こうして役員として母校の体育祭に参加するのは初めてで、少し緊張しております。形は違いますが私達も皆さんと同じように心から楽しみたいと思っております。今日は宜しくお願いします』
耳に心地好い、低く透明感のある。
だけど艶っぽい声に僕は客席の方に視線を走らせる。
そこには日差しが熱い中 紺色のスーツに身を包み、暑さも感じさせない 爽やかな笑みを浮かべる彼がいた。
『短いながら これで挨拶を終わらせていただきます。 OB代表 第65期生 三城 鷹雅』
声を上げそうになるがすんでのところで堪えた。
(鷹雅兄さん、代表って何!?)
鷹雅兄さんは大勢の中から僕を見つけたのか、
にこっと微笑む。
・・・イケメンっていいよね。
何してもイケメンフィルターで5割増ぐらいかっこよく見えたりするから。
僕はモヤモヤしながら目線を上に向ける。
空は僕の心とは反対に目が痛くなるくらい澄み切った青をしていた。
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